139号<平成30年6月20日配信>

【巻頭文】
 近年、「超高齢社会」「少子高齢社会」という言葉をテレビや新聞で見かけることが多くなりました。これらの言葉は、これからの社会のあり方を考えるにあたって最も重要なキーワードの一つです。国立社会保障・人口問題研究所が公表した「日本の将来人口推計(2017年)」によれば、生産年齢人口(15歳~64歳)は2015年の約7,730万人から、2030年には約6,880万人へ、そして、2060年には約3,540万人と急激に減ってきます。高齢者人口1人を何人の生産年齢人口で支えるかを推計すると、2015年は2.28人で支えていたものが、2030年には1.85人、2060年では1.29人で支えることになります。
 
 現在、年金など増大する社会保障費や高齢者の介護・医療サービス等が維持できているのは、主に生産年齢人口のうちの就業者の働きによるものです。しかし、今後予想されている人口構成を踏まえたとき、可能であるならば、65歳以上の人も働いて少子高齢社会・超高齢社会を支えていかなければ、日本の国は立ちいかなくなってしまいます。
 平成25年より施行されている高年齢者雇用安定法に従って、継続雇用の延長や定年の引き上げ等が実施され、65歳までの雇用については多くの企業で実現しています。さらに定年を66歳以上まで引き延ばす企業や、定年制廃止を決める企業も中小企業を中心に少しずつ増えています。
 
 このように高齢者の就労は、社会からの要請として始まった面が強いのですが、就労する当事者である高齢者本人、また、雇用主や企業側にもさまざまな良い影響をもたらします。継続雇用の延長や定年引上げのメリットとして、高齢社員にとって、「収入が確保できる」「社会との接点が保てる」「生きがいとして感じられる」等、また、雇用主や企業側にとっては「若手、中堅社員の定着率が高まる」「(高齢社員が)長年培ってきた知識やスキルを発揮できるとともに、若手、中堅社員に伝承してもらえる。」等のことが考えられます。
 
 しかしその一方で、高齢者の雇用に不安や課題を抱えている企業も少なくありません。「体力の個人差は大きく、健康不安がある。」「新しい技術についていけない。」「若い社員との意識の差が大きい。」等です。業種や企業によって、高齢社員に求めることはさまざまです。高齢者を雇用したのだけれど、高齢社員自身が困惑したり、軽く扱われたり、人権侵害を受けたりしては、せっかくの雇用もその意義が大きく損なわれます。
 
 私たちが、昨年度訪れた茨城県の農産物生産と加工品製造の企業「ハラキン」では、高齢社員を多く雇った上、働きやすい職場環境を保つため、社員の声を積極的に取り入れています。若い人事部長Iさんにお話を伺ったときの次の言葉が強く印象に残っています。
 「まずは、その人の生活スタイルにあったシフトを考える。」「将来は、会社の通勤バスを持ち、仕事帰りに病院やスーパーマーケットに立ち寄ったり、コミュニティセンターの役割も担ったりしたいと考えています。」
 こんな「ハラキン」では、90歳まで現役で働ける企業をめざしています。
 
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【ふらっと便り】
 ふらっと交流スペースでは7月1日(日)から『鳥取県立琴の浦高等特別支援学校生徒作品展』を開催します。学校紹介と共に、絵画、立体作品、写真など、一人ひとりの熱意のこもった輝く作品の数々を展示していますので、是非ご覧ください。皆さまのご来館をお待ちしております。
 
 ●『鳥取県立琴の浦高等特別支援学校生徒作品展』
 展示期間:平成30年7月1日(日)~7月31日(火)
      ・・・最終日の展示は午後3時まで
 
 
 ●人権ライブラリーDVD新着情報はこちらから
 
 ●鳥取県立人権ひろば21“ふらっと”ホームページはこちら
 
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【つれづれ日記】 ハンドルネーム:ひまわり
 先日、グループの日帰り旅行で奥大山周辺の名所を巡ってきました。
 県内でも殆んど行ったことのない所なので、新鮮で楽しい旅になったのですが、その中で少し気になった事がありました。近年有名になっている金持神社に掛けられた絵馬には、数億円もの宝くじが当たったとか、100万円単位の月給になったお礼の言葉が書かれたものばかり。日常では考えられない桁外れのお金を手にした人々の事をうらやみ、これが犯罪につながらなければ良いがと危惧したことです。
 
 私は、仕事上色々な相談を受けているのですが、この旅の直後に家族の健康不安の相談があり、本当の幸せってなんだろうと思わず考えさせられました。胃がんの宣告を受け手術をした私は、余命2年間の生をこの世に下さいと神頼みをしたのですが、幸い今年で16年間元気に生かされています。
 
 ところで、がん治療に役立つ免疫療法の研究が、今医療現場で脚光を浴びていると報じられています。それに関連する本を読み、術後はそれを実践している私にとって、それはとても興味深いことです。
 免疫力を高めることの一つに、笑うという事があるそうです。私の所には何らかの悩みを抱え、その苦しみから解放されたいという方々が相談に来られます。特に、病気・健康についての心配事を相談される場合には、一人でくよくよ悩まないで、話せる人を一人でも多くつくり、笑えることができるように心がけ、運は天に任せましょうと伝えています。
 諺に、「笑う門には福来たる」「笑いは、百薬の長」ともあるくらいですから。
 科学的なことは研究者に任せ、「健康になるため笑うこと」をただひたすらに信じて実行することも良い薬になると思います。
 
   私にとって、今一番大事な事、欲しいものはお金よりも健康でいられることです。健康に生きられる
ことが何よりの幸せです。

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