140号<平成30年7月25日配信>
【巻頭文】
来る8月8日(水)、鳥取市で「第43回人権尊重社会を実現する鳥取県研究集会」が開催されます。当センターは第4分科会「学習講座・入門講座」を担当します。今年度のテーマは、「『思いやり』は人権を守れるか?」です。
「思いやり」や「やさしさ」、「心」といった言葉は、人権啓発の掲示物や広報紙、研修会のテーマ等で頻繁に見られます。人権問題を解決するためには、「学校や家庭で思いやりの心を育むことが大切」といった住民の声も少なくありません。
一方、人権教育・啓発で思いやりや心が強調されることの問題性を指摘する声もあります。思いやりなどの抽象的な価値が強調されることによって、人権の本質や、人権を具体的な権利として認識することが妨げられるとともに、人権問題の解決は個人の心のもちようによるものとされてしまい、公的機関の責任や人権問題を解決するための法や制度の重要性が理解されにくくなってしまうというものです。
改めて、「思いやり」とは何でしょうか。辞書を引くと、「その人の身になって考えること。察して気遣うこと。同情。」とあります。「同情」は、「他人の苦しみ・悲しみ・不幸などを同じように感じ、思いやり・いたわりの心を持つこと。かわいそうに思うこと。」、「かわいそう」は「弱い立場にあるものに対して同情を寄せ、その不幸な状況から救ってやりたいと思うさま。」とあります。
さて、2018年7月17日付の日本海新聞に次のような記事が掲載されていました。
「少年ら4人無国籍 タイ洞窟 政府対応に注目」
「タイ北部の洞窟から救出された地元サッカーチームの少年ら13人のうち4人が無国籍だと判明した。~中略~少年らには海外のサッカーチームから試合観戦の招待が届いており、政府の対応に注目が集まっている。タイ内務省や地元メディアによると、無国籍は少年3人とコーチ(25)。少年3人はタイの身分証を持っているが、コーチはないという。タイの市民からは『かわいそうだから国籍を与えてはどうか』との声が上がる一方、内務省当局者は『(国籍付与は)通常の手続きに沿って行われるべきだ』と発言。~中略~タイでは、北部の山岳地帯に住む少数民族を中心に無国籍者が多く存在。地元メディアによると、約44万人に上るとの統計もある。」
また、7月18日付の毎日新聞には、「無国籍者が居住地区外に出る場合、当局の許可が必要で、地区外で働こうと思えば労働許可証などを数ヶ月がかりで取得する必要がある。また子どもは教育を受けられるが、医療などは十分ではない。さらに国籍取得には段階を踏んで長い年月が必要だ。」と書かれています。
「かわいそうだから」と少年らを思いやる心は、彼ら、そして、44万の人々の人権を守ることにどうつながっていくでしょうか。
今夏の研究集会では、私たちの身近な暮らしや人間関係を振り返りながら、人権教育・啓発の中で思いやりの気持ちを育むことにどのような意味があるのか、また、その効果や限界について話し合い、今後の人権教育・啓発で大切にしていきたいポイントを考えます。参加者同士で話し合いながら学びを深めるスタイルです。皆さまのご来場をお待ちしております!
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【ふらっと便り】
ふらっと交流スペース展示では、『いっしょに学ぼう!障がいのある人の人権~障がい者スポーツをとおして考える~』パネル展を開催します。2020年の東京パラリンピックを控え、障がい者スポーツについて見聞きする機会が増えてきました。今回の展示では、パラリンピック開催の経緯から障がい者への合理的配慮まで、小学生にも分かりやすい内容ですので、夏休みを利用して、ぜひご覧ください。
(1)8月展示企画のご案内
『いっしょに学ぼう!障がいのある人の人権
~障がい者スポーツをとおして考える~』
展示期間:平成30年8月1日(水)~8月31日(金)
*最終日は午後3時まで
(2)自由研究にぴったり!ふらっとの夏休み特別企画
~参加者募集中!~
テーマ:知ろう、学ぼう、世界の今!
~「世界がもし100人の村だったら」ワークショップ~
日時:8月7日(火)
対象:小学校4~6年
詳細はこちらをご覧ください。
●人権ライブラリーDVD新着情報はこちらから
●鳥取県立人権ひろば21“ふらっと”ホームページはこちら
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【つれづれ日記】 ハンドルネーム:ハンソン
夏は楽しいイベントがたくさん予定されウキウキした気分となる季節です。しかし今年は、熱中症等、命にかかわるような暑さが毎日続いています。
そんな中、8月6日には「広島原爆の日」、8月9日には「長崎原爆の日」そして、8月15日には戦争終結の日を迎えます。毎年この時期になると戦争・平和に関するイベントが開催され、テレビ番組で戦争をテーマにしたものが多く放送をされます。
戦争は、最大の人権侵害であり差別であると言われます。誰もの人権が尊重され差別がない社会をつくっていくためにも、少しでも戦争や平和についてふれ考えてみてもいいのではと思う毎日です。