135号<平成30年2月21日配信>
【巻頭文】
今冬も鳥取県内は厳しい寒さに見舞われた。日頃は車で通勤している私だが、積雪のため2、3日ほど列車で通勤した。早朝の寒さは一入で、いつもより厚着をしていたが、駅での待ち時間にすっかり体が冷え切った。
そんな中、駅や車内で「なぜ?」と思わずにはいられないことがあった。通学中の高校生のほとんどが、コートなどの防寒着を着ていないのだ。連日氷点下で吹雪の朝もあった。しかし彼ら彼女らは、見たところマフラーを巻いているぐらい。最近は薄手で暖かい下着もあるし、カイロを持っていたのかもしれないが、それにしたって寒そうだ(大きなお世話かもしれないが)。
試しに、インターネットで「寒くてもコートを着ない高校生」で検索してみると、同様の疑問を持つ人が全国各地にいた。「YOMIURI ONLINE」の「発言小町」(2014年1月15日)に「最近の高校生は何故コートを着ない?」というタイトルの投稿が寄せられている。それに対し110本のレス(返信)がある。「私は着ていた」「うちの子は着ている」というものもあるが、「私も着なかった」「うちの子も着ていない」というものが多い。「着ない」理由については、「私の場合はこうだった」「実際に自分の子どもに尋ねてみた」「こうじゃないかと思う(推測)」があるが、概ね次のようにまとめることができる。
①校則で防寒着を着ることが禁止されている。
②学校指定のコート等があるが、ダサイし高額だから誰も着ない。買わない。
③学校にコートを置くスペースがない。ロッカーは他の荷物でいっぱいだし、椅子にかけると裾が床について汚れる。荷物になるから邪魔。
④寒くない。自転車に乗ると暑くなるし、電車内も暖房が効いていて暑いくらい。
⑤制服の下に暖かい下着やセーターなど色々着込んでいるから平気。
⑥コートを着るなんて、「ダサイ」「カッコ悪い」「親の言うことをきくマジメなヤツだと思われる」「軟弱だと思われる」。
⑦みんな着ていないから、それが普通だと思っている。誰も着ていないのに自分だけ着たら、浮いてしまう。
なるほど、鳥取県内の高校生にどれくらい当てはまるのかわからないが、いろいろ理由があるようだ。
先のレスの中には、公立中学校についての話だが、「校則では禁止されていないが、1・2年生はコート禁止、3年生のみOKという暗黙の了解がある」「校則ではなく、『1年生はコートを着てはいけない』『紺のハイソックスやローファーを履いてはいけない』という生徒内での暗黙の伝統ルールがある」というものも見られる。どちらも「暗黙の了解やルール」を破ると、「えらいめ」にあったり、先輩からいじめられたりするそうだ。
防寒着を着ないことがその人なりのお洒落や美学、利便性によるものならまだしも、理不尽な校則や生徒間の暗黙の了解などで自由や権利が奪われ、それを「伝統」や「普通」として受け入れたり、受け入れざるを得ない状況があったりするのなら…。それこそ「冷えこんでいるな」と、春が待ち遠しい今日この頃である。
【ふらっと便り】
ふらっと交流スペースの3月のパネル展示は、「依存症」についてです。
3月1日(木)からは、鳥取県人権文化センター作成の人権啓発パネル「依存症と人権」を展示します。このパネルは無料で貸出も行っていますので、お気軽にお尋ねください。
また、3月13日(火)からは、鳥取アディクション連絡会(アルコールやギャンブル、薬物等の依存症全般について、その現状と回復を広く市民に知ってもらうために学習および啓発活動を行うことを目的とした団体)による「依存症について」のパネルを展示する予定です。
●鳥取県人権文化センターパネル展示「依存症と人権」
展示期間:平成30年3月1日(木)~3月12日(月)
●鳥取アディクション連絡会パネル展示
「依存症について ―分かっとるけど やめられんだが~ それが依存症―」
展示期間:平成30年3月13日(火)~3月31日(土)
※どちらも最終日の展示は午後3時まで
【つれづれ日記】 ハンドルネーム:えのき茸
ある日、「えのき茸」を天ぷらにする発想を思いついた。画期的なアイデアだと思っていたが、ネットのとあるレシピ投稿サイトを覗いてみると、すでに様々なバリエーションの「えのきの天ぷら」が紹介されていた。
世間は広い。
数日後、県外で暮らす姉に電話をかけた。晩ご飯のメニューについて話題が及ぶと、今晩姉は、「えのきの唐揚げ」を作るのだという。
世間は狭い。
世間は広くて狭い。だからこそ、いろいろな感性やアイデアを分かち合えるし、共通する感性・話題に共感を覚えることができるのだろう。これからも、相反するこの世間を存分に愉しんでみたい。
さて、今晩は、えのきをスムージーにして、スープ仕立てにしてみよう。どんな「世間」に出合えるかしら。