132号<平成29年11月22日配信>

【巻頭文】
  「日本人と外国人との結婚では同姓か別姓かを選べるのに、日本人同士の結婚だと選択できないのは『法の下の平等』を定めた憲法に反するとして、東証1部上場のソフトウエア開発会社『サイボウズ』(東京都中央区)の青野慶久社長(46)ら2人が、国に計220万円の損害賠償を求め、来春にも東京地裁に提訴する方針を固めた。代理人弁護士によると、法律婚した男性による夫婦別姓訴訟は初めて(毎日新聞2017年11月9日より)」
 
 民法750条は「夫婦は婚姻の際に夫または妻の氏を称する」と定め、夫か妻どちらかの姓を名乗ること、つまり夫婦同姓を義務付けています。しかし、結婚後に姓を変えているのは、96%が女性です。2011年2月、富山市の元高校教諭ら男女5人が、この規定を「女性への間接差別に当たり、『法の下の平等』を定めた憲法に違反する」等と主張、国に計600万円の損害賠償を求めました。一審、二審を経て、2015年12月16日、最高裁は同規定を「合憲」とする初の判決を言い渡し、賠償請求も退けました。
 1996年には、国の法制審議会(法務大臣の諮問に応じて、民事・刑事法その他法務に関する基本的な事項について調査・審議する法務省の付属機関)が民法の改正案を答申し、「選択的夫婦別姓」の導入を提言しましたが、一部の保守系議員を中心に「家族の絆や一体感が弱まる」といった反対意見が強く出されました。
 また、2016年には国連女性差別撤廃委員会が「実際には女性に夫の姓を強制している」として、選択的夫婦別姓制度導入のための民法改正を求める再度の勧告を行っています。
 
 先の青野社長は結婚する際に妻の姓を選びましたが、戸籍名と通称を使い分けることの不便さと不利益を痛感しているそうです。そして、こう語っています。「働き方が多様になった方が働きやすくなるのと同じで、姓も選択できる方が生きやすさにつながるはず」「どんな名前で生きていくのかを選ばせてほしいだけ。これからの日本は多様性を認めていくことが大事だ」。
 
 どんな名前で生きていくのか。それは、夫婦別姓に限った問題ではありません。
 名前は、その人がその人らしく生きていくための、大事な「私の一部」なのです。
 
【ふらっと便り】
 12月のふらっと交流スペース展示のご案内です。
 ●「白兎養護学校 小・中学部 美術部作品展」
  展示期間:平成29年12月2日(土)~12月24日(日)
  生徒の皆さんのすばらしい作品の数々をぜひご覧ください。
 ●「拉致問題パネル展」
  展示期間:平成29年12月1日(金)~12月21日(木)最終日は午後3時まで
  米子市出身の松本京子さんが北朝鮮当局に拉致され、今年で40年。
  拉致認定者、拉致された疑いのある特定失踪者のご家族や関係者の方々も高齢となられています。
  この機会に、拉致問題について考えてみませんか。
 
【つれづれ日記】 ハンドルネーム:ハンソン
 数年前から「子ども食堂」の活動に関わってきました。食事をした後には、子どもの学習支援もしています。食事や勉強をしながら、子ども達と学校のことや生活のことなど色々な話をしてきました。その中には、1日の食事が学校の給食だけの子どもや、自分の進路に悩んでいるひとり親家庭の子どももいます。一人ひとりが、様々な生活背景や課題を抱えています。子ども食堂の活動では、子どもたちの生きる支えになれたら…と思いながら関わっています。
 鳥取市内では、現在10か所で子ども食堂が開かれています。最近、鳥取市中心部の「パレットとっとり」でも始まりました。毎週火曜日と木曜日に開いています。子ども食堂に関心があり子どもに関わりたいとお考えの方、参加してみませんか。

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