128号<平成29年7月19日配信>
【巻頭文】
鳥取県では、「同和対策事業特別措置法」が施行された昭和44年7月10日を記念して、毎年7月10日~8月9日の1カ月間を「部落解放月間」と定めています。期間中は、県民一人ひとりが同和問題をはじめとする様々な人権問題を正しく理解し、その認識を深めるために、講演会や研修会など様々な啓発事業が現在県内全域で開催されています。県内で「人権教育(人権学習)」が活発に行われる時期と言えるでしょう。
ところで、人権教育(人権学習)は、「人権尊重の精神の涵養(かんよう:少しずつ養い育てること)を目的とする教育活動」と言われています。この「人権尊重の精神の涵養」が人権教育の目的であるとすれば、人権教育においては、「何を学ぶか」とともに、それを「どのように学ぶか」を問うことも重要ではないかと考えます。
この点にあたり、ワークショップ形式の人権学習では、学習の場それ自体が民主的な(人権が尊重された)場となるよう学習環境を整えていくことが求められます。課題を解決するための民主的なプロセスを体験的に学んでいくねらいがそこにあります。
ちなみに、私がワークショップ形式の人権学習をはじめて体験したのは今から8年程前。その時体験した学習内容は、残念ながら断片的な記憶に留まっているものの、その時のファシリテーター(進行役の方)やワークショップ経験のある「ベテラン参加者」の他者への関わり方は、今でも印象に残っています。
私が思い違いをし、課題からはずれた発言をしたとき、そうした予期せぬ発言が出たこと自体を楽しみ、その中から参加者の学びにつながりそうなエッセンスを引き出そうとするファシリテーター。問いに対して考えあぐねていても、その間の「沈黙の時間」を大切にしてくれる参加者。「とりあえず思ったことを言ってみる」ことに躊躇しなくても良い雰囲気がありました。人権尊重の「輪郭」に体感的に触れたような、そんな時間であったと振り返ります。
さて、「部落解放月間」の後半には、「第42回人権尊重社会を実現する鳥取県研究集会(8月3日)」が開催されます。当センターは、第4分科会を担当しますが、テーマはそのものずばり、「ワークショップの可能性を探る!」です。ワークショップの一端に触れる参加型の企画も予定しています。ワークショップを活用した人権啓発にどのような可能性があるのか、参加される皆さまにとって、「みて」「きいて」「体感」しながら考えられる機会となれば幸いです。
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【ふらっと便り】
ふらっと交流スペースで、『絵日記で考える外国人の人権問題』パネル展を開催します。
鳥取県では、昨年の外国人登録者は、約4,000人です(とりネット/「鳥取県内外国人登録者数の推移」参考)。国際化が進む中、さまざまな国の人々と出会う機会も増えていきます。理解し、認め合うためには、何ができるでしょうか?小学生にも分かりやすい内容ですので、夏休みを利用して、ぜひご覧ください。
●『絵日記で考える外国人の人権問題』(高知県人権啓発センター)
展示期間:平成29年8月2日(水)~8月27日(日)
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【つれづれ日記】 ハンドルネーム:イルー
うちの娘、高校3年生で大学受験に向けて頑張っている真っ最中。
頑張る娘の姿を見ながら子離れするカウントダウンが始まっている事をひしひしと感じる。
県外の大学を希望する娘は、合格できれば8ヵ月後には18年間一緒に暮らした家を出て行く。県外に出ることは賛成だが、正直寂しい…。
しかし、娘を見ているとまっすぐ前を向いている。学校の先生や友達に相談したり、学校図書館司書さんから紹介していただいた書籍を熱心に読み、大学で何を学びたいか自分の中で整理しているようだ。
行き詰まった時に、親に相談なのか愚痴なのか分からないがそのことを打ち明けてくる。
改めて自立する子どもとの関わり方を考えるいい機会だと思うようになった。
娘の自立を邪魔しないよう見守りながらも、健康管理には口を挟みつつ、密かに私も子離れする努力をしていきたい。