127号<平成29年6月21日配信>

【巻頭文】
 明日、6月22日は「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」だ。
 「ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律」の施行日であるこの日、厚生労働省主催による追悼、慰霊及び名誉回復の行事が毎年行われ、行事の模様はインターネット中継されるようだ。
 厚生労働省のホームページでは、中学生向けパンフレット「ハンセン病の向こう側」と、指導者用パンフレット「ハンセン病問題を正しく伝えるために」が紹介されている。ハンセン病に対する正しい理解を進めることで、ハンセン病に対する差別や偏見を解消し、ハンセン病患者や元患者の名誉を回復することを目的としたものだ。
 パンフレットの表紙には、「長い間、偏見や差別に苦しんでいる人たちがいる。ハンセン病問題は、決して特別な問題じゃない。それは、私たちの姿を映し出す鏡だと思う。この問題を、どうやって乗り越えていけばいいのだろう。」とある。
 差別の解消には、当時も今も“正しい理解”が必要なことは間違いない。しかし、ハンセン病の特効薬が開発され、海外では治療方針を外来医療に転換したにも関わらず、隔離政策を見直さなかった日本の政府等関係者の許されざる無関心とうかつさ、そして、ハンセン病は感染力・発病力がきわめて弱いことなどつゆ知らず、差別心と恐怖にかられて患者やその家族を社会から排除していった当時の人々を、“正しい理解”を怠ったと断罪する資格が、果たして今の私にあるのか、と考えてしまう。
 進行中の出来事に対して問題意識を持つ姿勢、面倒でも困難でも正しい情報を追い求め、正しく理解しようと努める姿勢を私は備えているだろうか。HIV感染症やO157、放射能問題が起こった時、たまたま自分に届いたマスコミや口コミ情報に頼って問題をとらえ、当事者をただ気の毒がってはいなかったか。
 「ハンセン病問題は、決して特別な問題じゃない。それは、私たちの姿を映し出す鏡だと思う。」この言葉をかみしめながら、6月22日を迎えたい。
 
【ふらっと便り】
 ふらっと交流スペースでは7月1日(土)から『鳥取県立琴の浦高等特別支援学校生徒作品展』を開催します。平成25年4月に開校した鳥取県立琴の浦高等特別支援学校は、知的障がいを有する生徒に対する教育を行う高等部だけの特別支援学校です(学校HPより)。生徒の皆さんの熱意のこもった作品の数々を是非ご覧ください。ご来館をお待ちしております。
 ●『鳥取県立琴の浦高等特別支援学校生徒作品展』
  展示期間:平成29年7月1日(土)~7月31日(月)
 
【つれづれ日記】 ハンドルネーム:麦茶
 先月末、隣県のある観光スポットに出かけた。駐車場には関西からの大型バスが数台、九州や四国、北陸ナンバーの車も止まっており、建物の外にも中にも客があふれていた。
 とても素晴らしい施設なのだが、残念なことがあった。広い施設には至るところにトイレがあるのだが、きれいに使われていないのだ。
 また、駐車場から一番近いトイレ(建物の外側にある)に続くスロープ上では、3~4人の観光客が手すりにもたれてタバコを吸っていた。当然、スロープ上もその横にある階段や通路も喫煙所ではない。にもかかわらず、堂々と階段に腰掛けタバコを吸いながら談笑している人たちもいて、少々通行を妨げていた。
 「旅の恥はかき捨て」とか「お客様は神様です!」なんて言葉が頭に浮かび、そこからあれやこれやと連想してしまった。「そもそもあのような行為を恥ずかしいと思っているのだろうか?」「お客なら、金を払えば、どんな振る舞いをしてもかまわないと思っているのか?」「単なるマナーの問題?いや、様々な人権問題に通じているような気がするぞ…」などなど。皆さんはどう思う?

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