126号<平成29年5月24日配信>
【巻頭文】
東京ディズニーシーに新規アトラクション「ニモ&フレンズ・シーライダー」がオープンした。魚サイズに縮む潜水艇・シーライダーに乗って、映画「ファインディング・ニモ」に登場するニモや父マーリン、仲間たちと海中の冒険に出かけるというもの。
アトラクションでは魚目線で展開する鮮やかな映像が見どころだが、実際の海中には興味深い生き物がいるもので、サンゴ礁に生息する多くの魚類が「オスからメスへ」あるいは「メスからオスへ」性転換することがわかっている。
ベラ類などメスからオスに変わるものが「雌性先熟」。一夫多妻制で生活する魚に多く見られ、大きなオスが多くのメスを独占するので、小さなオスは子孫を残すことができない。そこで体が小さいうちはメスとして卵を産み、大きくなってからオスになる。
逆に、オスからメスに変わるものが「雄性先熟」。一夫一妻制の魚が受け継いできた能力で、体が大きいメスの方が産卵能力が高いので、小さいうちはオスとして生活をし、体が大きくなってからメスになる。
ニモはクマノミという「雄性先熟」の魚。小さいうちは全部オスで、成熟するにつれ集団の中で最も大きい個体が性転換しメスになる。従って、ニモが将来「女子化」する可能性もある訳だが、彼らの世界では当然のことで、父マーリンが驚くことではなさそうである。
参考文献:性転換する魚たち(桑村哲生著:岩波新書)
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【ふらっと便り】
ふらっと交流スペース展示のご案内です。6/1(木)~6/30(金)に『県立鳥取聾学校写真部生徒写真展』を開催します。
県立聾学校の写真部生徒さんの感性豊かな数々の作品を、ぜひこの機会にご鑑賞ください。
お待ちしております。
●『県立鳥取聾学校写真部生徒写真展』
展示期間:平成29年6月1日(木)~6月30日(金)
最終日の展示は午後3時まで
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【グアテマラ日記】 ハンドルネーム:金ちゃん
GWの休暇を利用してグアテマラ等中米諸国を旅した。首都中心部は、高層ビルが立ち並び近代的な装いであるものの、中心部から少し離れるとまだまだ開発途上国独特の雰囲気が漂っている。
旅先では、思いも寄らぬことが次々と起こる。
旅の疲れを癒そうと泊まったホテルのシャワーの水が出ない、トイレのドアが内から開けられなくなり中に閉じ込められる、大声を出しても誰も助けに来ない。タクシーに客として私が乗っているにも関わらず、運転手が自分の子どもを乗せ、まず小学校へと車を走らせる。街で道を尋ねると誰もが親切に教えてくれるが、迷いはさらに深まるばかり。毎日が闘いの連続なのだ。この程度のことでイライラしてはいけないことは、今までの経験でよく分かってはいるのだが…。
ミニツアーに参加申し込みをし、うきうきしながら目覚めたある朝、迎えに来るはずの旅行会社の車が来ない。「1時間遅れは誤差の範囲」と、自分に言い聞かせひたすら待つ。積もり積もった不安が怒りに変わり、さらに絶望感に苛まれたその時、一台のワゴン車が目の前に滑り込んだ。運転席の窓から愛嬌のある顔をひょいと覗かせ、満面の笑みを浮かべたおじさんが一言、「Como esta?(ごきげんいかが?)」。
私「へっ?・・・・(*ノωノ)」
また、こんなこともあった。マヤ文明の著名な遺跡コパン(COPAN)へ行こうと、バスターミナルの窓口で切符を買う。窓口で手渡された切符には『COBAN行き(方向も雰囲気もまったく異なる別の町の名前)』と記されている。「いえ『COBAN』でなくて、『COPAN遺跡』へ行きたいのです。」と切符を押し返す。すると、窓口の女性は真顔でこう言い放った。「もう切符は発行したから面倒だわ。『COBAN』に行ってみたらどう。『COBAN』は、私の故郷でいい所よ。『COPAN遺跡』なんかに行くよりずっといいわ。」
私「へっ?・・・・(*ノωノ)」
彼らに悪気はない、あれもこれもけっして悪気はないのだ。
『価値観の違いを認め会おう!』人権研修に出向くときいつも私が口にする言葉が、脳内で空中散歩を始めたグアテマラの昼下がり。