149号<平成31年4月24日配信>

【巻頭文】

 まもなく「平成」が幕を閉じようとしています。30年と4か月、みなさんにとって「平成」は、どんな時代だったでしょうか?あっという間に過ぎ去っていったなと感じられる一方、31年前を思い返してみても、世の中のあり様がどのようであったかなど、もはや思い出すことさえ難しい遠い昔のことのようにも感じます。

 人権保障等に関わる一つひとつの具体的な取り組みや法律は、「世界人権宣言」や「国際人権規約」、また「日本国憲法」等に掲げられた「基本的人権の尊重」理念に基づいて作られています。平成の時代には、一人ひとりの人権が尊重された社会が広がっていくよう、世界規模で取り組みが行われ、また、国内においてもきめ細かな法律が次々と生み出されていきました。

 国連では、平成7年(1995)から平成16年(2004)までの期間を「人権教育のための国連10年」と定め、知識と技術の伝達及び態度の形成を通じ、人権という普遍的文化の構築を目指し、研修の実施や広報活動を活発にすること等についても行動計画が示され、国内でもこれに連動していきます。この波に乗って、鳥取県人権文化センターも平成9年(1997)に産声を上げ、平成21年(2009)には、部落解放研究所との合併を経て、今年で22年目を迎えています。

 平成12年(2000)には、人権施策の推進について、国、地方公共団体及び国民の責務を明らかにする必要な措置を定める「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」が制定されています。特定の仕事に就く者ばかりでなく、多くの一般市民が、差別や人権侵害に関する様々な個別課題や人権そのものについて学べるよう学習会や講演会等が頻繁に企画されるようになっていったのはこの頃からです。

 また、街中施設等の整備に関する様々な法律も制定されました。高齢者、身体障がい者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律、いわゆる「ハートビル法」が制定されたのは平成6年(1994)、高齢者、身体障がい者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律、いわゆる「交通バリアフリー法」が制定されたのは平成12年(2000)。そして、平成18年(2006)にはこれらの法律が一つになり、高齢者、障がい者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、いわゆる「バリアフリー新法」が制定され、街中のバリアフリー化も進んでいきました。

 そして、3年前の平成28年(2016年)には、「障害者差別解消推進法」「ヘイトスピーチ対策推進法」、そして「部落差別解消推進法」のいわゆる人権三法と呼ばれる法律が次々と制定、施行されています。法律名に初めて「差別」の文言が組み込まれたり、情報化社会の進展に伴ってインターネット上の差別書き込み等についても規制の対象としたり、新たな展開も生まれています。

 また、鳥取県では平成26年(2014)、全国に先駆けて初めて「手話言語条例」が成立し、現在、多くの人々が手話を学んでいます。平成30年度、鳥取県では初めて、まとまった形で「部落差別に関するネットモニタリング」の取り組みが行われました。

 目の前の歩みは鈍いように見えても、時代が進むにつれ、一歩一歩、意識の変革や環境整備が整っていった「平成時代」であったように思います。積み残した課題もけっして少なくはありませんが、目前に迫った「令和」が、さらに人権文化が大きく羽ばたく時代になることを願っています。

 

【ふらっと便り】

◆5月“ふらっと”交流スペース展示のご案内◆

 『鳥取県立八頭高等学校生徒さん「人権標語」作品展』

 

◆新入荷情報◆ 

 DVD紹介

 『探梅 春、遠からじ』 字幕副音声付 アニメーション 40分

 社会からの排除と孤立、包み込む社会を考えます。

 本の紹介

 『多文化社会で多様性を考えるワークブック』

 (著・編)/有田佳代子・志賀玲子  出版社/研究社

 『さよならミニスカート 1巻』 【コミック】

 著者/牧野あおい  出版社/集英社

 

【つれづれ日記】  ハンソン

 ある日、昼食のためによく利用する飲食店に入った。その日はお客さんがいつになく多く、食事が出るまでいつもより少し待った。待っている間、新聞を読みながら今日はどんな人が来ているのだろうと周りの人たちの話を聞いていた。隣の席に座っていた60歳代半ばの男性客は、酒を飲みながら店主の女性に「キレイだ、美人だ、美人だから酒がうまい」などと話しかけていた。その様子から、この男性は女性に対していつもこのようなことを話しかけているのだろうと思った。おそらく女性に対し「キレイだ」などと言えば女性は喜び相手をしてもらえると思ったのだろう。そのコミュニケーションの取り方にあきれてしまった。

 コミュニケーションの取り方を間違うと、パワハラやセクハラなどの問題となりニュースになることもある。話し方はもちろんであるが、目の前にいる人を大切にし、関心をもってコミュニケーションを取りたいと思った。

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鳥取県人権文化センターのその他の活動

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