150号<令和元年5月27日配信>

【巻頭文】
 ゲームに使うトランプは、カード52枚とジョーカー2枚が1セットである。カードの52枚は、1年の52週を意味している。カードすべての数字を合計すると364、これにジョーカー1枚を加えて1年の365日となる。
 新天皇即位後の初の国賓として、トランプ米国大統領が来日され、ゴルフや大相撲観戦等、大きな話題となっている。是非、この機会に初夏の日本を堪能していただきたいものだ。
 「メキシコ国境に壁をつくる」「イスラム教徒は入国させない」などと問題発言を繰り返す米国大統領。常識外れの思考であるが、トランプ氏のことが理解できれば、起きている事象も解釈できるのではないか。例えば、トランプ大統領の年俸はいくらか?正解は1ドルである。米国大統領の年俸は40万ドル(約4500万円)と決められているのだが、トランプ氏はこれを辞退し、たった1ドルを受け取っている(2016年11月14日付け BBCニュース)。この金銭感覚は、容易には理解できない。フォーブス調査では、トランプ氏のことが資産総額は2017年10月現在31億ドル(約3500億円)。大統領年俸40万ドル(約4500万円)がトランプ氏の資産総額に占める割合は、わずか0.013%。トランプ氏にとって40万ドルは、さして重要な意味を持つものではないのだろう。
 しかし、トランプ氏は、投資の経験が豊富で、計算高い〝ビジネスマン〟である。彼が成功を収め、巨万の富を築いた実業家から政治家へと決断したときも何らかの理由があるはずだが、どうにも転身の動機が計りかねる。当選直後のインタビューでは「報酬1ドルの大統領として身を粉にして働く。」と答え、その後の行動でも一定の支持を得ている。一方、ワシントンポスト紙は、報酬1ドルは見せかけの善意であるとして、彼の偽善ぶりを指摘している。極端に評価の分かれる大統領であるが、政治経験のないビジネスマンが今まさに超大国を率いている。
 大統領がよく使う「God Bless America(アメリカに神の恵みあれ)」。そう唱え、はばかることなく合衆国の利益を第一に追求するトランプ大統領は、ひそかに〝神〟の代理人を自認しているのかもしれない。そう考えると、もう1枚のジョーカーも相当強い。

【ふらっと便り】
◆ 6月“ふらっと”交流スペース展示のご案内◆
 『鳥取県立鳥取聾学校「生徒作品展」』
◆ 新入荷DVD情報◆
 『気づいて一歩ふみだすための人権シリーズ⑤
   お互いの本当が伝わる時 ―障害者―』
  (字幕副音声付 ドラマ 24分 2018年制作)
 『気づいて一歩ふみだすための人権シリーズ⑥
   わからないから、確かめ合う ―コミュニケーション―』
 (字幕副音声付 ドラマ 29分 2018年制作)

【つれづれ日記】  ハンドルネーム   今日の一針
 いわゆる代替わりの形で40過ぎから地域の町内会に関わるようになり、以後通算約20年間、会長、副会長等の役員を務めてきた。決してやりたくてやってきたわけでない。妻に言わせると、「よう断らんけーだが」となる。
 どこの町内会(部落会、自治会)でも同様と思うが、役員、特に会長のなり手がなくて困っている。以前は話し合いで会長が決まり、数年は会長を続けることが珍しくなかった。今や、持ち回りによる順番制で会長を選び、しかも1年で次の会長にバトンタッチする町内会が多くなった。
 町内会に関して、気になっていることがいくつかある。その一つは、男女共同参画社会基本法が制定されて20年、昨年は政治分野における男女共同参画推進法(候補者男女均等法)が施行されたが、町内会においては、女性の会長が極めて少ないことである。
 町内会長は、簡単にいえば、世帯主(各世帯の代表)から選ばれる。ほとんどの世帯が男性(主として夫)を世帯主としているので、必然的に男性が会長となるのである。世帯主でなくても、(男女を問わず)役員に選ばれている例は結構ある。しかし、会長という役職となると世帯主でない方が選ばれることはまずない。それが、女性の町内会長が少ない大きな理由である。
 男女共同参画社会を推進していくには、女性の町内会長をもっと増やすことが必要と思う。そうでなければ、男社会と言える地方の地域社会(町内会)は変わっていかないだろう。
 町内会の運営に長年携わってきた人間として、町内会長のなり手がないことを嘆くだけだったことを反省している。加えて、性別役割分担意識の根強い町内会を変えていくことは容易ではないことも痛感している。はっきり言えることは、町内会というような身近なところにもしっかり目を向けなければ、男女共同参画社会実現への道のりは遠くて厳しいということである。

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