162号<令和2年5月26日配信>
【巻頭文】
「歌手やってて、知らないかもしれないけど」。検察庁法改正案に抗議するきゃりーぱみゅぱみゅさん(歌手・ファッションモデル)のSNS投稿に対して、政治評論家・加藤清隆さんが行ったツイートが物議を醸した。「歌手やってて、知らないかもしれないけど、検察庁法改正案は国家公務員の定年を65歳で揃えるため。安倍政権の言いなりになるみたいな陰謀論が幅をきかせているけど、内閣が検察庁を直接指揮することなどできません。デタラメな噂に騙されないようにね。歌、頑張って下さい。」
これにはさまざまな批判と議論が寄せられているが、その中に主張の正否はともかく、これは「マンスプレイニング」だという指摘があった。「マンスプレイニング」とはなにか?「マン」(man:男性)と「エクスプレイニング」(explaining:説明するの動名詞)を短縮した造語で、直訳的には「男性が説明すること」といった意味だ。男性が主に女性に対して必要もないのに、横柄あるいは見下したようなそぶりでものごとを説明することをいい、とりわけ男性が保護者ぶったり、男性優越主義的な態度を示したりするときにこの言葉は使われるようだ。
相手に対するサービス精神から、あるいはちょっといいところを見せたくてうんちくを披露するのは、本人や相手の性別に関係なくありうることで、許容されてよいと思う。問題は、その前提に女性はモノを知らない・理解力が低いという偏見が見え隠れする場合や、知識量で自分の優位を主張し、「よくわからない者は黙っていなさい」と発言を封じ込めようとする場合だ。女性の尊厳を傷つけ、発言権や自己決定権をも損ないかねないマンスプレイニングは、マイクロアグレッションの一種としても認識する必要があるだろう。
前述の加藤氏の投稿にきゃりーぱみゅぱみゅさんはこう返した。「歌手やってて知らないかもしれないけどって相当失礼ですよ、、、、」。私も今後は「相当失礼!」とすかさず反論したい。
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【ふらっと便り】
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、入館を伴うサービスを制限しておりましたが、5月11日(月)より解除しました。窓口での貸出、返却が可能になります。
引き続き無料宅配サービスもご利用いただけます。(令和2年12月末まで)
※ ご利用にあたり下記の点にご協力ください。
・ 館内ではマスクの着用をお願いします。
・ 手指消毒薬を準備していますのでご利用ください。
・ 発熱等で体調がすぐれない場合はご利用をお控えください。
・ 間隔を十分確保するために席数を減らしています。
ご利用は短時間でお願いします。
・ ミーティング等の交流スペース利用は、
最大8名、2時間以内とさせていただきます。
◆新入荷DVD
・『シリーズ映像でみる人権の歴史
第8巻 ひとと皮革(かわ)の歴史』
上映時間19分 2020年制作 解説
・『生命(いのち)のことづけ
~死亡率2倍 障害のある人たちの3.11~』
上映時間37分 2013年製作 ドキュメンタリー
・『災害時要援護者の支援
ともに生きのびるための 自助・共助』
上映時間17分 2014年製作 インタビュー・解説
◆新入荷図書
・ 『37.5℃の涙 18巻』
著:椎名 チカ/出版社:小学館
・『ゴールデンカムイ 21巻』
著:野田 サトル/出版社:集英社
・『コウノドリ 30巻』
著:鈴ノ木 ユウ/出版社:講談社
・『草 日本軍「慰安婦」のリビング・ヒストリー』
著:キム・ジェンドリ・グムスク/出版社:ここから
・『被差別部落マイノリティのアイデンティティと社会関係』
著:内田 龍史/出版社:解放出版社
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【つれづれ日記】 ハンドルネーム:アップサイドダウン
私好みの淡いピンク地の手作りマスクを身につけて、感染症の感染・拡大防止に十分気をつけながら、今日は、仕事や必要な用事のために出かけています。
「不要不急の外出を控える」ことは、まだまだ意識するところですが、たとえば、誰かにとっての「不要・不急」の用事が、別の誰かにとっては緊急で必要に迫られる用事ということもあるように・・・。
個人の思い一つをとってみても、その人が何を望み、何を優先するかは、その重みも含め一様ではないため、物事の善し悪しを安易に決めつけてしまうことには危うさを感じます。
・・・「コロナ禍」と言われ、個人や社会の価値観が揺さぶられ続ける今、改めて、これまで当たり前としてきたこと、見過ごしてきたことを見つめ直す機会なのかもしれません。
ふと、先日、同僚との話に挙がった「人権の視点から『新しい生活様式』を創造していく発想も大切」という言葉が頭をよぎります。
昨晩、妻が「自信作!」と、誇らしげに渡してくれた手作りマスクを手に取りながら。