175号<令和3 年6月23日配信>

【じんけん放話】
 今月11日、日本民間放送連盟(民放連)の大久保好男会長(日本テレビ会長)が、7月から差別・人権問題に関する研修会を開催すると発表しました。今年3月に日本テレビの情報番組でアイヌ民族に対する差別表現があったことを重く受け止め、第1回は「アイヌ民族」をテーマに、その後、同和問題や性的少数者の人権などを取り上げ、全国のテレビ・ラジオ局で働く人々や番組制作会社のスタッフらに広く受講を呼びかけるということです。
 民放連のWEBサイトに「日本民間放送連盟 放送基準」が掲載されています。第1章は人権です。『(1)人命を軽視するような取り扱いはしない。(2)個人・団体の名誉を傷つけるような取り扱いはしない。(3)個人情報の取り扱いには十分注意し、プライバシーを侵すような取り扱いはしない。(4)人身売買及び売春・買春は肯定的に取り扱わない。(5)人種・性別・職業・境遇・信条などによって取り扱いを差別しない。』とあります。
 その他の章にも人権に関わる項目が複数見られます。例えば『11章 性表現』には『(77)性的少数者を取り上げる場合は、その人権に十分配慮する。』とあります。しかし、バラエティ番組等における「性的少数者」への言動は、残念ながら「人権に十分配慮」されているとは思えません。視聴者に与える影響も心配です。
 また『4章 家庭と社会』には、『(23)家庭生活を尊重し、これを乱すような思想を肯定的に取り扱わない。』『(24)結婚制度を破壊するような思想を肯定的に取り扱わない。』とあります。家庭生活や結婚制度を乱したり破壊したりする思想とはどのようなものでしょうか。かつてある芸能人が「不倫は文化だ」と発言しましたが、そのようなことを意味しているのでしょうか。それはさておき、現実には様々な家庭の姿があります。日本は同性婚を認めていません。前提に、家庭や結婚、セクシュアリティに関する固定的で偏った考え方(思想)があるのだとすれば、それを「乱さない」「破壊しない」ことによって、誰かを否定し、排除し、差別や人権侵害に加担していることもあるのではないでしょうか。
 テレビが与える影響は多大です。差別的表現の放送を防ぐための仕組みづくりは勿論、放送に携わる人々の人権意識の向上を目指し、真摯に研修等に取り組まれることを期待します。ネットを通じて誰もが気軽に発信できる時代だからこそ、テレビにはこれまで以上に信頼できるメディアであってほしいと願います。
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【ふらっと便り】
◆7月 ふらっと 交流スペース展示のご案内◆
『多様な性、知っていますか?~あなたも私も、このまちで。』
  出典:特定非営利活動法人 ReBit (リビット)
  展示期間:7/1(木)~7/31(土)  最終日の展示は午後3時まで
◆新入荷図書◆
『ストップ!SNSトラブル』
 ① 炎上、誹謗中傷はどうして起こる?
 ② 文字で気持ちまで伝わる?
  著:小寺 信良/出版社:汐文社
『多様性との対話 ダイバーシティー推進が見えなくするもの』
  著・編:岩渕 功一/出版社:青弓社
『ブクロキックス 4巻』
  著:松木 いっか/出版社:講談社
『新・ちいさいひと 青葉児童相談所物語 9巻』
  著:水野 光博 イラスト:夾竹桃 ジン
  取材・企画・原案:小宮 純一/出版社:小学舘
『中学生・高校生のためのソーシャルスキル・トレーニング
           スマホ時代に必要な人間関係の技術』
  著・編:渡辺 弥生 著・編:原田 恵理子/出版社:明治図書出版
『発達障害の子の「友達づくり」トレーニング』
  監修:有光 興紀/出版社:講談社
『ステレオタイプの科学
 「会社の刷り込み」は成果にどう影響し、わたしたちは何ができるのか』
  著:クロード・スティール 序文:北村 英哉
  翻訳:藤原 朝子/出版社:英治出版
『無意識のバイアス 人はなぜ人種差別をするのか』
  著:ジェニファー・エバーハート 解説:高 史明
  翻訳:山岡 希美/出版社:明石書店
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【つれづれ日記】   ハンドルネーム:  かとーちゃん
 いよいよ東京オリンピック開幕まで1か月となった。
 国立競技場の設計変更に始まり、エンブレム問題、新型コロナウイルスによる延期、関係者による差別的発言など次々と問題が浮上し、今も開催には賛否あるが、そのせいというかおかげというか、初めて『オリンピック憲章』というものに目を通す機会になった。そこには、オリンピズムの根本原則として『スポーツをすることは人権の一つである』とも明記されており、改めてオリンピックの持つ意味やスポーツの持つ力について考えさせられ、本大会への関心がより高まった。
 そんな中、個人的に注目しているのが男子バレーボールだ。日本史上最高の逸材と称される石川選手や、強烈なサーブが世界からも恐れられる西田選手、さらには大学2年生ながら代表入りした髙橋選手に期待するとともに、安全に開催されることを願っている。

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