179号<令和3 年10月27日配信>

【じんけん放話】
 少し前の話題ですが、10月1日は「大切な問いに向き合う日(と・い:10+1)」でした。株式会社MIMIGURIという会社が、一般社団法人 日本記念日協会に申請し、認定を受けて制定された日です。
 この会社では、「問い」を、「あらゆる分野において複雑な問題の本質を捉え、創造的な課題解決に導く」「新たな価値や本質を探究する」技術として考えているようです(参考:一般社団法人日本記念日協会HP)。
 日常の中でふと浮かぶ疑問も、物事を探究する「問い」になるでしょう。さしずめ、私の最近の疑問は、「なぜ人は、自分のことを棚に上げた言動をとるのか?」です。

 ・日頃大きな声で騒ぐ人が、他者の声に「うるさい、静かにしろ!」と注意する。
 ・職場で、この1ヶ月一度もお茶出しをしてない人が、「来客時のお茶出しは、性別や
  職場上の立場関係なく気づいた人がやれば良い」と言う。
 ・子どもに気軽に年齢を尋ねる大人が、「人には、軽々しく年齢を尋ねるもんじゃない」
  と子どもに諭す。
 ・コロナ禍。観光施設に大勢の観光客が押し寄せている様子をみて、「何でこんなに人が
  多いんだ。」と、怒る観光客の一人。
 ・コロナの感染者への誹謗中傷や感染者の詮索に苦言を呈する人が、身近な地域で感染者
  が確認されたとき、「あそこの職場の人」「この時期に県外に行くのはねえ」と、数人で
  この話題に盛り上がる。

 上の例のような人に、「お前が言うな!」とツッコミたくなる一方で、周囲の状況や個人の立場や事情など、「棚上げにしてしまう」様々な背景にも思いが巡ります。「人権尊重を考える際の葛藤」にも切り込むような「問い」であるかもしれません。
 現在当センターが取り組む、対話型の人権学習「ふらっとカフェ」では、毎回1つのテーマ(問い)を設定し、少人数の参加者でじっくりと話し深める機会となっています。ふらっとカフェは、今年の9月までに4回ほどセンター主催で実施してきましたが、準備期間を経て、11月頃から再び開店する予定です。「大切な問いに向き合う日」は、年に何回あっても良いですよね。
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【ふらっと便り】
◆11月 ふらっと 交流スペース展示のご案内◆
『鳥取県立鳥取聾学校写真部「生徒写真展」』
 展示期間:11/4(木)~11/30(火) (最終日の展示は午後3時まで)
◆新入荷図書◆
『ダウン症神話から自由になれば子育てをもっと楽しめる』
 著:長谷川 知子/出版社:遠見書房
『Shrink~精神科医ヨワイ 6巻』
 原著:七海 仁  著:月子/出版社:集英社
『声がだせない少女は「彼女が優しすぎる」と思っている 5巻』
 著:矢村 いち/出版社:秋田書店
『リエゾンーこどものこころ診療所― 6巻』
 原著:竹村 優作  著:ヨンチャン/出版社:講談社
『パーフェクトワールド 2巻』
 著:有賀 リエ/出版社:講談社
『37.5℃の涙 22巻』
 著:椎名 チカ/出版社:小学館
『ケーキの切れない非行少年たち 3巻』
 原著:宮口 幸治  著:鈴木 マサカズ/出版社:新潮社
『ゴールデンカムイ 27巻』
 著:野田 サトル/出版社:集英社
『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』
 著:岸田 奈美/出版社:小学館
『健康以下、介護未満 親のトリセツ』
 著:カータン/出版社:KADOKAWA
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【つれづれ日記】 ハンドルネーム: シクラメンの香り
 週末の衆議院議員総選挙に向けて、各候補、各政党の選挙戦が激しさを増しています。私は一足先に期日前投票を済ませました。近所の投票所に出向いた時のことです。
 入口付近で三人の若者が部屋の中を覗きこみ何やらそわそわしています。どうやら初めて投票に来た高校生のようです。私が中に入るよう誘うと神妙な面持ちで二人が私の後に続きました。外で待っているもう一人(17歳か?) から声がかかります。「失敗すんなよ!」
 中に入った2人が震えるような小声で自分の名前を告げると、予期せず「入場券のはがきをお持ちですか?」と問われ大慌て、上着やズボンのポケットをまさぐりはがきを見つけ出して提出。投票用紙を受け取った後、2人でヒソヒソと言葉を交わしています。「○○の漢字ってどう書くんだっけ?」
「○○政策するって言っていたのは○○党だでな?」「最高裁判所裁判官・・・ん~??」。二人は記帳台で記名し、投票箱を間違えないよう何度も確認した後、投函。部屋の外に出るやいなや大仕事を一つこなしたかのように「あ~、終わった!」との嘆息が漏れ聞こえました。
 一連の行動をともにした私は、初々しい若者たちを見ながら、数十年前、自分自身初めての投票で悩んだ日を思い出しました。「誰に投票するかを自分で決める。そりゃ高校生にしてみたら大仕事だよな。」と感じるとともに、「一票を投じるために投票用紙と真剣に向き合ったあの感覚」を思い出し、苦笑いしながら投票所を後にしました。

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