180号<令和3 年11月24日配信>

【じんけん放話】
 「部落差別解消推進法」が施行されてから、来月で丸5年を迎える。この法律の第五条では、部落差別を解消するために国が必要な教育及び啓発を行うこと、地方公共団体においても地域の実情に応じて必要な教育及び啓発を行うよう努めるものとしている。
 では、部落差別を解消するために、今、どのような教育・啓発が必要だろうか。昨年5月に実施された鳥取県人権意識調査(対象:県内在住16歳以上の者、有効回答数1,414名)の<問12、12-①、12-②>の結果から考えよう。

『問12 あなたは、過去5年間で同和地区(被差別部落)の人々に対する差別的な発言や行動を直接見聞きしたことはありますか。(1つに○)』
 「ある」16.2%(「ある」と答えた人は①、②に進む)
 「ない」81.7%
 「無回答」2.1%

『問12-① 見聞きした差別的な発言や行動は、次のうちどれですか。(○はいくつでも)』
 「1.地域や職場、学校、家庭内などでの差別的な言動」63.8%
 「2.差別的な落書きや投書」15.7%
 「3.インターネット上での差別的な表現等」18.6%
 「4.雑誌等での差別的な記事」8.6%
 「5.その他」9.0%
 「無回答」5.7%

『問12-② その時、あなたはどうしましたか。(○はいくつでも)』
 「1.差別に気づき、間違っていることを説明した」15.2%
 「2.差別に気づき、間違いを説明したかったが、できなかった」19.5%
 「3.差別に気づいたが、どうしたらよいのかわからなかったため、何もできなかった」28.6%
 「4.差別に気づいたが、当人の問題であると思い、そのままにした」22.9%
 「5.その時は差別と意識せず、見過ごした」10.5%
 「6.その他」9.0%
 「無回答」2.9%

 問12で「ない」と答えた人の中には、「気づいていない」人も含まれるだろう。自分が「見たり聞いたりしたことがない」=「部落差別はない」ではない。何が部落差別なのかがわかる学習が必要だ。
 また、問12-③の選択肢2~4は、いずれも差別に気づいているが、結局、何もしていない。これらを合計すると7割を超える。特に、3の「どうしたらよいのかわからなかった」が高い。部落差別に気づいた時に、その場で適切に対処できるための学習も必要だ。
 当センターでは2020年1月に人権学習資料37「今後の部落問題学習をどう展開するか」を発行した。これを活かしながら、さらに学びの創造にチャレンジしたい。
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【ふらっと便り】
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  1部 展示期間:12/1(水)~12/27(月)   2部 展示期間:1/4(火)~1/31(月)
 『拉致問題啓発 パネル』  鳥取県総務部人権局  ※廊下掲示板に展示
  展示期間:12/1(水)~12/24(金)  (* 最終日の展示は午後3時まで)
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【つれづれ日記】 ハンドルネーム: いるー
 娘は4月から社会人。やれやれ少し楽になると思っていたが、次は高齢の母が待っていた。今まで当たり前のように頼りにしていた母が、少しずつ物事ができなくなったり、物忘れが増えたりすることで自分に自信がなくなり落ち込むことが多くなった。
 私にも大きな原因がある。私自身母が老いていくことを受け入れられず、以前は何事もきっちりしていた母が雑になったり物忘れをしたりした時、「しっかりして!」「まだ大丈夫!」という思いでダメ出しをしていた。
 母が一言「一日誰とも話をせずに家に1人でおると長いだが~」それを聞いて反省した。慌ただしい日々、週に何回母とゆっくり話をしただろう。私の中の母に対する優先順位は低かった。それからは1日30分から1時間は、母の話を聴くよう意識し始めた。81歳のおばあさんの1日の出来事やワイドショーの話を聞く。会話をするだけで少しずつだが前向きになってきた母を見て嬉しく思う。

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