185号<令和4年4月27日配信>

【じんけん放話】
 今月上旬、ある企業の新入社員研修で「ふらっとカフェ」(鳥取県人権文化センターが考案した対話型の人権学習。少人数で1つのテーマについてゆっくりじっくり対話し学びを深める)を実施した。新入社員とベテラン社員計6名、当センターからは進行役含め2名が参加し、「仲間とは?」をテーマに話し合った。
 「一つの目標に向かう間柄」「気が合う人、気が許せる人」「助け合える関係」「普段は仲良くしていなくても、何かの時には自分のことのように思えたり、応援したりする」「長年会っていなくてもつながっている」「所属(クラス、部活やサークル、職場、自治会等)が同じでも、仲間だと思える人とそうでない人がいる」「友だちとは違う」「仲良しとも違う」。
 果たして、仲間とは?
 辞書には、①一緒に物事をする間柄。また、その人、②地位・職業などの同じ人々、③同じ種類のもの。同類、とある(デジタル大辞泉より)。これだけを見ると、気が合うか、助け合えるか、時を経てもつながりがあるか等は含まれていないように思う。つまり、たまたま同じ職場に就職した、たまたま居住地域と年齢が一緒だから同じクラスになった、それだけで仲間だと言える。
 しかし、仲間という言葉に辞書に書いてある以上の意味や価値を持たせている人は多いのではないか。例えば、切磋琢磨、協力、団結、絆等。だからこそ、子どもたちの様々な学習活動に「仲間づくり」を位置づけたり、「本当の仲間」と言ってみたり、「仲間だと思える人とそうでない人」を分けたりする。明確でなくても、仲間というものに寄せる期待や理想像があることが感じられる。
 勿論、“望ましい”“美しい”関係の時にだけ使われるわけではない。「いいじゃねえか、オレたち仲間だろ?」といった“悪い”セリフをどこかで聞いたことがあるように、あるいは、性別や出身地等の属性が同じだけで、仲間として行動を共にするのが暗黙のルールになっていることがあるように、「仲間」が、束縛や圧力、呪いの言葉になることもある。しかし、たとえ居心地が悪くても、嫌気が差しても、そう簡単に手放せるものでもない。それはなぜか?
 仲間とは?仲間づくりとは?友だちとはどう違う?望ましい人間関係とは?まだまだ深く考えていくことができそうだ。
 「ふらっとカフェ」では、今年度も様々なテーマを設定し、対話を通して学びを深めていきたいと思っている。ぜひお気軽にお問い合わせ、ご参加ください!
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【ふらっと便り】
 ◆5月 ふらっと 交流スペース展示のご案内◆
  『労働相談Q&Aパネル展』 鳥取県中小企業労働相談所みなくる
    展示期間:5/1(日)~5/31(火)(最終日の展示は午後3時まで)

 ◆新入荷DVD
  ・『レインボーストーリーズ LGBTsと社会』全4巻
   ① 職場、②家庭、③公共機関、④地域社会 各巻20~25分 2021年製作 ドラマ

 ◆新入荷図書
  ・『ねぼけノート 認知症はじめました』
    著:あさと ひわ/出版社:朝日新聞出版
  ・『認知症世界の歩き方』
    著:筧 裕介/出版社:ライツ社
  ・『戦争は女の顔をしていない ③』
    原著:スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 著:小梅 けいと
    /出版社:KADOKAWA
  ・『リエゾン-こどものこころ診療所- ⑧』
    原著:竹村 優作 著:ヨンチャン/出版社:講談社
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【つれづれ日記】  ハンドルネーム :  エスプレッソ
 朝の情報番組で、「チートデイ」という言葉を知りました。調べると、ダイエット等を目的に食事制限をしている期間に、しっかり食事をとる特例日のことで、この日を設けることで減量中の停滞期をもたらす基礎代謝の低下を抑えられるようです(参考:実用日本語表現辞典)。
 ダイエットの過度な推奨は控えますが、このチートデイの論理、「解放日」を設けることについては、センターの取り組みを振り返るに、納得できるところです。
 センターにはいくつかの内部会議が設けられていますが、その一つに月に1度行われる情報交換の会議で「CM会議」 (Communication Meetingの略)」というものがあります。専任研究員同士のコミュニケーションを促進させることを目的とした会議です。そこでは、各担当事業の進捗状況の報告・相談のみならず、人権啓発に関わり参考になると思われる情報提供や人権や人権啓発に関わる、素朴なギモンについて、特に制限を設けず共有し合うものです。日頃、個々の担当業務に追われがちな研究員にとって、CM会議は、互いの様子を理解したり、モヤモヤと抱えているものを晴らしたりできるような場ともなりえています。
 普段は黙って仕事をするという意味ではありませんが、多忙なときほど「内向き」になりがちです。だからこそ、月に一度のCM会議では、「チートデイ」のごとくしっかりコミュニケーションをとって、翌月の人権啓発事業に臨みたいと思う次第です。

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