186号<令和4年5月25日配信>

【じんけん放話】
 ロシアによる軍事侵攻が続く中、県内でもウクライナへの支援の輪が広がっている。鳥取市内の道の駅では、県内在住の外国人が書いた平和への思いを「しおり」にし、駅利用者に配布。商品やイベントの売り上げの一部を寄付する動きも相次いでいる。

森が燃えていました。
森の生きものたちは われ先にと逃げていきました。
でもクリキンディという名のハチドリだけは いったりきたり、口ばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは火の上に落としていきます。
動物たちがそれを見て「そんなことをして いったい何になるんだ」といって笑います。
クリキンディはこう答えました。「私は、私にできることをしているだけ」
   ~出典:「ハチドリのひとしずく」より(辻 信一監修:光文社刊)

 これは、南米のアンデス地方に昔から伝えられてきた話で、そこに住む先住民族の友人から聞いた文化人類学者の辻信一さんが翻訳し、光文社から出版されたものだ。
 ハチドリのクリキンディが教えてくれるのは、「何もしない他人を非難したり、怒ったりする暇があるなら、自分のできることを淡々とやっていこうよ」ということ。
 私たちは、あまりに大きな問題や困難に取り巻かれてしまうとき、それを考えるだけで気が遠くなって、あきらめや無力感に支配されてしまうが、どんな困難な中にいても私たち一人一人には「できること」が必ずあるということを教えられる。
 物語の中で燃えていた森は、言い換えれば戦争、貧困、差別の闇とも言えるかもしれない。この世の中は、いつの時代でも大変な問題が溢れている。しかし、もっと大きな問題は、これらの事に対して、「自分に問題を解決する力などない」と思い、大切な事柄に目をつぶってしまうことだ。
 私たち一人一人は、ハチドリのように小さな力しかないが、目の前の問題にしっかりと向き合い、皆が「今のわたしにできること」を考え、行動することができるなら、燃えている森の火でさえも消すことができるかもしれない。
 物語は途中で終わっている。燃えていた森はその後どうなったのか、物語の結末をどのように描くかは自分の想像力次第である。
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【ふらっと便り】
◆ 6月 ふらっと交流スペース展示のご案内 ◆
 『鳥取県立鳥取聾学校写真部「生徒写真展」』
  展示期間:6/1(水)~6/30(木)
       最終日の展示は午後3時まで
◆ 新入荷図書 ◆
・『ゴールデンカムイ 29巻』
  著:野田 サトル/出版社:集英社
・『パーフェクトワールド 9巻』
  著:有賀 リエ/出版社:講談社
・『夜廻り猫 6巻』
  著:深谷 かほる/出版社:講談社
・『ベルリンうわの空』
  著:香山 哲/出版社:イースト・プレス
・『日本のふしぎな夫婦同姓』
  著:中井 治郎/出版社:PHP研究所
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【つれづれ日記】ハンドルネーム: 名無しの権兵衛
 ある日の午後、つれづれなるままにネットサーフィンしていると次のような記事が目に留まりました。「戸籍の氏名に読み仮名を付けるための戸籍法改正に向け、法制審議会で試案が示され、『光宙』をピカチュウ、『騎士』をナイトなど、漢字本来の読みや意味から外れたいわゆる『キラキラネーム』は幅広く容認される方向へ」
 「名前」は親にとって子どもへの最初のプレゼント、熟慮する人は多いでしょう。歴史上の偉人やスポーツ選手の名前から拝借、親の名前から一文字を引用、画数や字面等に力点を置く、読み方を工夫したり凝ったり等、こだわりは人それぞれです。
 当然、生まれたばかりの赤ちゃんに判断能力はなく、与えられた名前を受け入れるだけ、自意識が芽生える頃には、既に自分には名前がついています。「たった一度の人生、自分の名前が、他者(親や親戚、名前鑑定人等)に付けられるというのは、『自己決定権』の行使としてどうだろう? 」とか、「自分の名前くらい自分で気に入った名前をつけられないものか」などと、考えているうち・・・。
 「待てよ! 私が自分の名前を自分で名付けるとしたら・・・」との問が頭を巡り・・・熟慮した結果、「ん~~~・思いつかない。今の名前でいいわ。」

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