188号<令和4年7月27日配信>

 朝、アラーム音にゆるりと起きる。洗顔・歯磨、朝食の準備。味噌汁を温める音や油のはじける音は、忙(せわ)しない中でも心地よい。妻と情報番組にツッコミを入れながら朝食。仕事着を纏(まと)い定時のバスに乗車。先日購入した靴の履き心地は良好だ。職場。担当業務に勤しむ。時折、時事問題を巡り同僚と自由に議論。共有した問題意識を練り上げ、人権啓発に活かす。仕事帰り。スマホで妻と互いの帰宅時間を確認しスーパーへ。数ある食材から、予算と栄養バランス、時短を考慮して買い物する。帰宅。電気を点ければ部屋は明るい。エアコンの効きが今イチなので、休日にでも掃除しよう。
 私にとって当たり前の、それでいてかげがえのない日常から、直線8千㎞ほど先にウクライナがある。2月24日、ロシアが「特別軍事作戦」と称するウクライナ侵攻を始めて5ヶ月が経過した。
 この侵攻で、ウクライナに暮らす一般市民の死者は、少なくとも4662人に上る(註1)。また、人口約4150万人の3人に1人(1500万人超)以上が住み慣れた土地からの避難を強いられ、900万人超が近隣国に避難(註2)。さらに、ロシア軍に拘束された数十万人のウクライナ人が強制連行・移住させられ、多くはロシア各地の「僻地」に。サハリン(樺太)へ送られる人、そのまま置き去りにされる人もいる模様(註3)。
 数字では分からない現実もある。
 ・ 地下に逃げ、豪音が鳴り響く環境に身を置く臨月の女性。
 ・ 幼子を車に乗せ数日間走り続け避難する親。
 ・ 横たわる遺体を見ないよう、子どもの目を手で覆いながら逃げる親。
  ・ 徴兵の事情で男性は出国が禁じられ、家族の命を一身に背負い国外避難する女性。
  ・ 夜行列車。空爆の標的にならないよう、すし詰め状態の車内で照明は消され、
   スマホは使用禁止。
  ・ 外出禁止令で自由に外に出られず。
  ・ 空襲警報がスマホに毎日複数回出る。
  ・ 爆撃が止んでも、不発弾により街・家に入れず。
 ・ 電気や水が滞り、安定供給の見通しが立たず。
 ・ 知らない間に職場(病院)が空爆を受け、通信が途絶え、同僚や患者の安否も
   分からず。
 ・ ガソリンスタンドに数時間並んでも、ガソリンがあるか不明。価格は侵攻前の倍以上。
   今後も上がる見込みで、農作業や物流が滞り食糧不足への懸念も。
        (参考)東京新聞『ウクライナからの声 街に残った人、逃れた人、
            一人ひとりの思いは・・・【記事一覧】』(6月11日配信)
 戦争状態にある国では、直接的暴力や抑圧、制限、不安定さが蔓延り、その国に生きる一人ひとりにとって当たり前の、かけがえのない日常を、一瞬、又は徐々に奪う。
 奪われるのは一方の側に限らない。この間一部の国で、ロシア人に対する嫌がらせ行為が相次いでいる。ロシアに対する世界的な批判の高まりから、被害を受けても声に出せない人も多いという。
 誰かにとっての大切な日常は、誰にも侵しがたいその人の尊厳だと思う。その尊厳が理不尽に侵されないよう誰にも人権があることを、先の大戦後、国連憲章や世界人権宣言、国際条約等で確認されてきた。
 問題解決の方法に暴力・戦争を選ばない。そんな価値観がそれぞれの日常の中に、当たり前の、かけがえのないものとなるために、人権啓発の果たす役割は重要だと信じている。

註1:国連人権高等弁務官事務所より(6月22日時点)
註2:国連難民高等弁務官事務所より(7月13日発表)
註3:CNN(米国のニュース専門ケーブル)より(5月27日報道)
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【ふらっと便り】
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 『認定NPO法人十人十色アート展 ~あつさにまけないゾウ~』
  展示期間:8/1(月)~8/31(水)  最終日の展示は午後3時まで
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 『わたしと人権』第1巻・第2巻  上映時間24~26分 2020年制作 ドラマ
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 『僕の妻は発達障害』1巻~3巻  著:ナナトエリ  著:亀山 聡/出版社:新潮社
 『新・ちいさいひと 青葉児童相談所物語』 11巻
  イラスト:夾竹桃 ジン  著:水野 光博
  企画・原案:小宮 純一/出版社:小学館
 『37.5℃の涙』 24巻  著:椎名 チカ/出版社:小学館
 『リエゾン ―こどものこころ診療所―』 9巻  著:矢村 いち/出版社:秋田書店
 『ゴールデンカムイ』 30巻  著:野田 サトル/出版社:集英社
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【つれづれ日記】ハンドルネーム: いるー
 この春から子どもたちも巣立ち、夫も海外赴任になり、母と二人暮らしになった。
 できた自由時間に友達3人で畑を始めた。コットン(綿花)、オクラ、早どれ白菜、豆(種類不明)。
 知識のない若者(50歳)が畑を始めたと近所のお年寄りが観に来てくれる。穴だらけの白菜をみて楽しそうに笑っている。「本を見た方がいい」とそれだけを教えてくれる。
 私たちは図書館に行って本を読んで研究。久しぶりに学習する楽しさを感じた。
 野菜の成長を写真に撮り子どもに送信。子ども達は褒めてくれる。いくつになっても褒められるのは嬉しい。自分でも褒めて伸びるタイプでは!!と思った。
 「あ~子ども達ももっと褒めてあげれば良かった」と身をもって感じた。
 これからでも遅くない、いいことはどんどん褒めていこう!!と心に決めた。

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