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【調査研究:ハラスメントと人権】職場のハラスメントを見逃さない! そのために

1 職場のハラスメント、問題が深刻化する前に対応しよう

 下の表1は、国内における職場のハラスメントを巡る、ネット記事の見出しをまとめたものです。これらは2022年の2月から本稿を執筆中の3月7日までの間に配信された中の一部です。
 メディアは、行為者の立場や具体的行為がセンセーショナルな事件を選択して取り上げる傾向があるので、実際にはより多くの、より様々な形のハラスメントが全国各地で起きていると推察します。

 表1 ハラスメントを巡る記事の見出し例(2022年2月~)

■「外食産業でのカスハラ、顔にスープをかけられた店員は「自分の言動に責任を持って」と訴え」
    BuzzFeed(2月1日配信)

■「役員のパワハラで苦痛」と提訴 ●●(地名)漁協の元職員」紀伊民報(2月2日配信)

■「東京パラ警備でパワハラ ●●県警、警視を処分」共同通信(2月2日配信)

■「政治家の94%がハラスメントを経験 一般企業の約3倍、有権者からのモラハラも」ENCOUNT
 (2月3日配信)

■「後輩に「朝まで寝ないで訓練しろ」パワハラ、●●市消防士ら停職」神奈川新聞(2月4日配信)

■「保育に介護・・・「ケア労働」の現場で“大人のいじめ”が起こりやすい“残酷すぎる理由”とは」 
    文春オンライン(2月5日配信)

■「ベテラン弁護士から「げんこつで殴られた」女性事務員がパワハラ提訴「労災」は認定済み」
    弁護士ドットコムニュース(2月7日配信)

■「部下に正座、冊子で頭数十回 陸自3曹と曹長を減給処分」神奈川新聞(2月8日配信)

■「心病む教職員が増加・・・精神疾患で長期病休、●●市すでに前年度超え 長時間の過密労働、
       上司パワハラも」埼玉新聞(2月9日配信)

■「消防職員が部下にパワハラ ●●市が3人懲戒処分 三重」伊勢新聞(2月10日配信)

■「「暴言あった」職員7人が証言 ●●市特別職によるパワハラ疑惑」琉球新報(2月16日配信)

■「教員から学生へのパワハラ、賠償提示は30万円強、●●(地名)の看護学院」朝日新聞
 (2月18日配信)

■「【独自】国立病院機構傘下のコロナ中核病院で看護師、医師らが大量離職 パワハラ騒動で院長へ
    退任嘆願書も〈dot.〉」AERAdot.(2月19日配信)

■「研修後の感想を提出させた上司、紙に「バカ」「アホ」と書き込んで返却・・・精神的苦痛与える」
    讀賣新聞(2月22日配信)

■「●●(自治体名)市長パワハラ問題 市議会特別委が退職者含め証言募集開始」神奈川新聞
    (2月23日配信)

■「どなる消防司令、部下のマスクを無理に引っ張り脚を蹴る・・・パワハラで停職1ヶ月」讀賣新聞
    (2月23日配信)

■「セクハラ文書を庁内にファックスした女性職員 ●●県が停職1ヶ月」神戸新聞(2月28日配信)

■「部下に“セクハラ”空自●●基地隊員を懲戒処分」九州朝日放送(2月28日配信)

■「学生に侮辱的な発言、助教を停職1日の懲戒処分に」山陰中央新報(3月1日配信)

■「「呪い殺してやる」発言の●●(会社名)会長に賠償命令 元社長へのパワハラ認定」西日本新聞
    (3月2日配信)

■「議長の懲罰動議提案 町職員にパワハラ疑い ●●町議会」宮崎日日新聞(3月2日配信)

■「君にはもう辞めて貰う」建築資格予備校「●●(予備校名)」創業者のパワハラ動画入手
   文春オンライン(3月3日配信)

■「1年生38人のうち15人自主退学、パワハラ原因か ●●(地名)の看護学校」
      朝日新聞デジタル(3月4日配信)

■「●●(地名)メトロ社員自殺で和解成立 パワハラ原因認める」産経新聞(3月7日配信)

           *記事の見出し中の「●●」は具体的な地名等を表すため伏せ字にしました。

 統計データをみると、ハラスメントがもたらす深刻な問題に気づかされます。
まず、労働災害の原因とハラスメントの関係に関するデータです。仕事による強いストレスが原因でうつ病等の精神障がいを発症した人の内、国から労災補償の支給が決定された人は、令和2(2020)年度、過去最多の608人に上りましたが、表2のように、その原因となる出来事の多くがハラスメントや対人関係に関することでした(註1)

 また、警察庁がまとめる自殺(自死)者の統計(註2)によると、2020年に「勤務問題」で自死に至った人の原因・動機として、これまで最大であった「仕事疲れ」(註3)を超えて、「職場の人間関係」が最大となっています(表3を参照)。

 「職場の人間関係」をそのまま「ハラスメント」とみなすことはできませんが、人間関係上の問題であるハラスメントの存在を無視することはできません。ハラスメントは、被害者の心身に大きな悪影響を与え、時に命を奪う可能性のある問題として、深刻に受け止める必要があります。

 表2 精神障がいに伴い労災補償の支給が決定した出来事(令和2年度)

 ❶ 上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた(99件)

 ❷ 悲惨な事故や災害の体験、目撃をした(83件)

 ❸ 同僚等から、暴行又は(ひどい)いじめ・嫌がらせを受けた(71件)

 ❹ 仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった(58件)

 ❺ 特別な出来事(心理的負荷が極度のもの等)〈54件〉

 ❻ セクシュアルハラスメントを受けた(54件)

 ❼ 2週間以上にわたって連続勤務を行った(41件)

 ❽ 1ヶ月に80時間以上の時間外労働を行った(31件)

 ❾ 上司とのトラブルがあった(14件)

 ❿ 顧客や取引先からクレームを受けた(11件)

 *厚生労働省「精神障害に関する事案の労災補償状況」の「表2―8 精神障害の出来事別決定
     及び支給決定件数一覧」を基に鳥取県人権文化センター作成。
 *精神障がいの労災認定基準で設定される、「その他」を含めた39項目から上位10を掲載。

 

 表3 自殺(自死)に至る原因・動機としての「勤務問題」の内訳(令和2年)

 ❶ 職場の人間関係(522人)

 ❷ 仕事疲れ(510人)

 ❸ その他(301人)

 ❹ 仕事の失敗(312人)

 ❺ 職場環境の変化(273人)

 *警察庁「令和2年中における自殺の状況」を基に、鳥取県人権文化センター作成。

 日本では、2020年6月にスタートした「ハラスメント規制法」に基づき、今年の4月から全事業所に、パワーハラスメント(パワハラ)を含めた職場のハラスメントを防止するための措置を取ることが義務づけられました(註4)。これにより、各組織の取り組みを通じて、ハラスメントをなくしていくことが求められるところですが、とりわけ、組織として深刻な状況を引き起こす前の段階で適切に対応すること、つまり「初期対応」が重要と考えます。そして、初期対応を迅速且つ適切に行えるカギは、組織や周囲が、いち早くハラスメントが起きている状況(兆候)を見逃さないことです。

 しかしハラスメントは相手を直接否定・侮辱したり、身体的攻撃を加えたりするような「分かりやすい」ものばかりでなく、職場でハラスメントが起きていること自体に気づかない場合もあるでしょう。そのため、周囲が気づかない内に被害を受けた側の心身にダメージが蓄積され、気づいた時には深刻な状況に陥っている場合も考えられます。

 そこで以降では、職場で起きているハラスメントを見逃さないポイントとして、「ハラスメントを特別な問題として捉えない」「職場における優越的な関係を理解する」ことを提案し、その意味を論じていきます。その上で、「働く場における人権」の視点から、改めてハラスメントを見逃さずに対応することの意味を考えてみたいと思います。

 

2 職場のハラスメントを見逃さないためのポイント

(1)ハラスメントを特別な問題として捉えない

 厚生労働省による職場のハラスメントに関する最新の実態調査によると、ハラスメントを受けたと回答した人の「その後の行動」として、社内外等へ相談せずに、「何もしなかった」と回答した人が相当数いることが分かります(註5)。各組織(職場)が把握している以上に被害者がいることを示唆しています。

 こうした潜在化するハラスメントを見逃さないためには、各組織でハラスメントに関する実態調査を行うことも有効ですが、今すぐに知っておくべきこととして参考になるのが、「ハインリッヒの法則」という考え方です。

 ハインリッヒの法則とは、ハーバート・ウィリアム・ハインリッヒが、1929年に提唱した労働災害に関する考え方の一つで、1つの大きな事故・災害の背後には29の軽微な事故や災害があり、その背景には300の「ヒヤリ・ハット(事故には至らなかったもののヒヤリとした、ハッとした事例)」が存在するというものです(図1を参照)。重大な事故や災害の防止のためには、事故や災害の発生が予測されたヒヤリ・ハットの段階で対処していくことが必要であることを教えてくれる考え方です(註6)

 この法則は、今日、学校におけるいじめや職場のメンタルヘルスの問題を探る上でも参考にされているところですが、職場のハラスメントの問題にも活用できると考えます。図2は、筆者がハインリッヒの法則に則って作成した「職場のハラスメントを見逃さないための指標」です。

 

 この図から考えると、職場のハラスメント相談窓口で相談する1件のハラスメント事例の背後には、相談したくても様々な事情から相談に来られない人たち、さらにその背後には、相談までには至らずともハラスメントや人間関係上の問題に悩んでいる多くの人たちを想像することができます。

 もちろん、この図から正確に捉えることはできませんが、少なくとも職場のハラスメントは特別な問題ではなく、身近な問題であることに気づかせてくれます。職場で起きている「1件」のハラスメントは、同じ職場で起きている潜在的なハラスメントやその兆候を知らせる「SOS」のサインとして受け止めていくことが大切です。

(2)職場における優越的な関係を理解する

 ハラスメントは、直接的には人間関係の中で起きる問題です。そのため、ハラスメントを巡る当事者間の関係性、具体的には、被害者がその加害者に抵抗・拒否することが難しい「優越的な関係」に注目することが大切です。
 一般的に、職場における優越的な関係(力関係)を背景に行われる行為にはパワハラがありますが、セクシュアルハラスメント(セクハラ)やマタニティハラスメント(マタハラ)等の背景の一つにも優越的な関係が影響していると思われます。例えば、ハラスメントの行為者は、上司や先輩など、自分より「優越的な立場」の人に対し、安易にハラスメント行為に及ぶでしょうか?行為者は、他者との関係を敏感に感じ取り、反論や拒否をされる心配のない相手を「選んで」行為に及んでいる傾向があると言えます。

 前述した厚生労働省の調査では、パワハラを受けたと感じた人の内、9割以上が、行為者が「優越的な立場」の代表格とも言える上司や役員であると回答しています(註8)が、表4や表5のように、他のハラスメント行為についても同様の立場の人による行為が多いことが分かります。

*東京海上日動リスクコンサルティング株式会社『令和2年度 厚生労働省委託事業 職場のハラス
 メントに関する実態調査報告書』(2022年3月)を基に作成。表4はp.80、表5はp.126より。
*表4の回答者は、過去3年間に勤務先でセクハラを受けたと回答した人(10.2%)。
*表5の回答者は、過去5年間に淫夢先で妊娠/出産した女性労働者の中で、妊娠・出産・育児休業等
 に関するハラスメントまたは不利益取扱いを受けたことがあると回答した人(26.3%)。

 優越的な関係のもとでは、仮にハラスメントを受けた側が抵抗せず、受け流し、行為者の言動に同調していたとしても、そのことをもって「(受けた)相手は拒否していないから」「行為者の言動を受け入れているから」「嫌そうな顔をしていないから」問題ないとは言い切れません。受けた側は、拒否や抵抗した後の相手からの「報復(反撃))を恐れ、そうせざるを得ない状況に追い込まれている場合もあるからです。

 この点に関しては今日、国の規定においても、ハラスメントの背景にある力関係や被害者の心理状況を踏まえた文言が明記されています。例えば、仕事が原因で精神障がいを発症した際の労災認定基準では、次のようなセクハラ事案の留意事項を挙げています。

【セクハラ事案の留意事項(厚生労働省「精神障害の労災認定基準」より)】

(1)被害者は、勤務を継続したいとか、行為者からのセクハラの被害をできるだけ軽くしたいとの心理から、    やむを得ず行為者に迎合するようなメール等を送信したり、行為者の誘いを受け入れることがあるが、これらの事実がセクハラを受けたことを単純に否定する理由にならないこと

 (2)被害者は、被害を受けてからすぐに相談行動をとらないことがあるが心理的負荷が弱いと単純に判断する理由にならないこと

(3)被害者は、医療機関でもセクハラを受けたことをすぐに話せないこともあるが、初診時にセクハラの事実を申立てていないことが心理的負荷が弱いと単純に判断する理由にはならないこと

(4)行為者が上司であり被害者が部下である場合、行為者が正規職員であり被害者が非正規労働者である場合等、行為者が雇用関係上被害者に対して優越的な立場にある事実は心理的負荷を強める要素になり得ること

     

 特に、上記(1)には、セクハラを受けた被害者が「行為者に迎合するようなメールを送る」「行為者の誘いを受け入れる」ことをもって、セクハラの被害を単純には否定できない旨の文言が明記されています。これも、行為者からの報復等を恐れて抵抗できず、相手の行為に同調・迎合せざるを得ない状況に追い込まれる被害者の心理を踏まえてのものです。

 なお、優越的な関係性(力関係)は上司と部下、先輩と後輩の関係に限りません。前述した表4、5のハラスメント行為者の中には「同僚」や「部下」も挙げられていますが、たとえ先輩や上司であっても、その時々の状況によっては、同僚や部下等の行為に拒否や抵抗しにくい場合もあります(註9)。そのため、優越的な関係は、職位や年齢、職務年数といった固定的な立場に囚われず、それぞれの職場の状況によって様々に考えられることを理解しておく必要があります。

 

3 「働く人の人権」から考える、ハラスメントにいち早く気づくことの大切さ

 改めて、「(職場で)働く人の人権」とはどういうものでしょうか。これについて、様々な解釈や表現の仕方があると思いますが、筆者は次のように捉えています。

 働く人が、それぞれの職場で、物理的・心理的に安全な環境のもと、安心して働くことができ、その人の持ち味や能力を伸ばし、発揮する機会が担保されている状態。

     
 そして、こうした状態を大切にする職場こそが「人権が尊重された職場」と言えるでしょう。
 しかし、セクハラやパワハラ、マタハラ等のハラスメントを受けた人の中には、「怒りや不満、不安を感じた」「仕事に対する意欲が減退した」「職場でのコミュニケーションが減った」「眠れなくなった」といった心身や仕事への悪影響を受けている人が相当数います(註10)。このことからも、ハラスメントは「働く人の人権」の実現を妨げる行為、つまり人が安全に安心して働くことを妨げ、その人の持ち味や能力を発揮する機会を奪う行為だと考えます。組織の問題として、また、同じ職場でともに働き影響し合う一人ひとりの問題として、ハラスメントの実態にいち早く気づき対処・介入(註11)することの意味はここにあります。

 

 今回は、職場のハラスメントを見逃さないためのポイントとして、「ハラスメントを特別な問題として捉えない」「職場における優越的な関係を理解する」の2つを提案しました。ただ、紙幅の関係で言及しませんでしたが、職場の構造的な問題からハラスメントの兆候を探るために、「ハラスメントが起きやすい職場」とはどのような状態か理解し、自らの職場を点検する方法もあります(註12)。加えて、人の考えや判断に歪みや偏りをもたらす「バイアス」について知ることも、ハラスメントの兆候に気づくヒントになると考えます。この点は、当センターが作成した人権学習教材「くりえいと-ハラスメントと人権-」の中でも紹介していますので、関心のある方はご一報ください。

 「ハラスメントのない職場」から積極的に「人権が尊重される職場」の実現に向けてどのようなことが大切か、今後とも皆さんと一緒に考えていくことができれば幸いです。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(註1)
 厚生労働省「令和2年度 精神障害に関する事案の労災補償状況」より。なお、最多となった「パワーハラスメント」の項目は、後述するパワハラ防止措置が2020年に義務化されたこと等を受け、新設された項目である。
(註2)
 警察庁のまとめる「令和2年中における自殺の状況」では、自殺(自死)の原因・動機を、本論で紹介した「勤務問題」に加え、「男女問題」「学校問題」「家庭問題」の4項目から分類している。
(註3)
 ここで言う「仕事疲れ」の中には、「長時間労働」もカウントされていると指摘されている。
 参考:今野晴貴「過労よりも「パワハラ」で自殺増加 なぜ遺族の9割以上が労災申請しないのか」
    Yahoo!ニュース記事(2021年11月26日配信)
(註4)
 本論で述べた「ハラスメント規制法」とは、これまでに施行された「労働施策総合推進法」や「女性活躍推進法」「男女雇用機会均等法」「育児・介護休業法」等といったハラスメント規制に関わる法律を一括改正した法律「女性活躍推進法等の一部を改正する法律」の通称で、2020年6月1日から施行されたものである(中小企業にこの法律が義務規程として適用されるのは2022年の4月から)。
 なお、この度の「ハラスメント規制法」によって、各組織にはパワハラに対する防止措置を取ることが義務化され、また、既に防止措置義務が課せられているセクハラやマタハラ等に関しては、その実効性の向上を図るために内容が見直された。
(註5)
 東京海上日動リスクコンサルティング株式会社『令和2年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査報告書』(2022年3月)より。例えば、パワハラやセクハラを受けたと回答したその後の行動では、「何もしなかった」が最多で、その理由として多い上位3つが、「何をしても解決にならないと思ったから(パワハラ・セクハラともに1位)」「職務上不利益が生じると思ったから(パワハラ2位、セクハラ3位)」「何らかの行動をするほどのことではなかったから(パワハラ3位、セクハラ2位)」(pp.88-89,94)
(註6)
 ウィキペディア「ハインリッヒの法則」より。
(註7)
 本論の図2は、以下の記事を参考に作成した。記事では、事業所が行う「ステレスチェック制度」に関わる医師による面談指導に対する潜在的ニーズを把握するために、ハインリッヒの法則を活用した図が掲載されている。  
 参考:Better Options HP『ストレスチェック』項目内記事「ハインリッヒの法則を活用した高リスク
    者対策」(2018年6月22日配信(最終更新日)
(註8)
 前掲註5(p.80)より。
(註9)
 優越的な関係の例としては以下のものがあり、上司と部下、先輩と後輩の関係に限らない。
  ・ 職務上の地位が上位の者による言動
  ・ 同僚又は部下による言動で、その言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、
   当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの
  ・ 同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの
 参考:令和2年厚生労働省告示第5号『事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に
    起因する問題に関して 雇用管理上講ずべき措置等についての指針』
(註10)
 前掲5(p.82,84,127)より。
(註11)
 職場で働く一人として、ハラスメントに介入する方法について考えるにあたり、当センター作成の人権学習教材『くりえいと ハラスメント人権』内の「介入―私が「守る」」が参考になる。
(註12)
 「ハラスメントが起きやすい」職場の状態を考える方法の一つとして、「ハラスメントを受けた人が働いている職場の特徴」を把握することが考えられる。詳細は、前掲5(p.102,103,137等)を参照。

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