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じんけん放話1「日本国憲法 前文」

 ゴールデンウィークが近い。祝日の赤色が続くカレンダーを眺めると、5月3日は「憲法記念日」とある。この日は日本国憲法が施行された日で、毎年この日を含む5月1日から7日までの「憲法週間」には、憲法の精神や司法の機能を国民に理解してもらうための取り組みを法務省機関や裁判所、弁護士が協力して行っている。

 日本国憲法は、同時期に作られた人権の国際基準「世界人権宣言」がそうであったように、各国の憲法や思想の粋を集めて編み出された。憲法の3原則は「国民主権」、「平和主義」、「基本的人権の尊重」。これは知っている人も多いだろう。人権教育・啓発に携わっている人なら、国民の権利と義務を記した第3章(10~40条)は読んだことがあるのではないか。とはいえ、補足を含めると全11章103条から成る憲法を読み通すとなると、「時間もないし、難しそうだし、…また今度!」ということになりそうだ。

 そこでお勧めしたいのが、憲法の「前文」を読んでみることだ。以下はその一部だが、第二次世界大戦で大敗を喫し、戦後の焼け野原から日本を再建しようとした当時の人々の、新たな国づくりに込めた期待と覚悟がストレートに伝わってくる。

日本国民は、恒久の平和を念願し、
人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、
平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、
われらの安全と生存を保持しようと決意した。
われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を
地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、
名誉ある地位を占めたいと思ふ。
われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、
平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

 いつでも戦える武力を備えるのではなく、国際社会の平和を保つことで日本が戦わなくてもよい状況を作るのだと、それがわれらの安全と生存を保持する道なのだと、日本は高い理想を掲げた。

 それから77年。ここ数年の国際社会はロシアのウクライナ侵攻、北朝鮮のミサイル問題、中国の海洋進出など、ますます多様な不安要素を抱え込んでいる。このような状況において「名誉ある地位を占め」るとはどういうことか。当時の先達の決意に、私たちはどう応えるのか。今年の「憲法週間」には643文字の「前文」をじっくり読んでみませんか?

                             *メルマガ第197号<令和5年4月26日配信>より

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