201号<令和8月23日配信>

【じんけん放話】   【もう10回目 〇〇甲子園】
 夏の甲子園大会は、各試合感動を与えながら慶應義塾高校の優勝で幕を閉じました。残念ながら県勢は早々に姿を消しましたが、鳥取県は9月にも熱く燃える甲子園が開催されます。それは、「全国高校生手話パフォーマンス甲子園」。平成25年10月、全国で初めて手話を言語と認めた「鳥取県手話言語条例」の制定を機に、翌26年から毎年開催されているこの大会は、皇族の御臨席もあることから毎回マスコミにも広く取り上げられています。
 ところで、昨年の優勝は埼玉県の坂戸ろう学園・大宮ろう学園の合同チーム。かつてろう学校で手話の使用が禁止されたという苦難の時代があったこと、そしてそれを乗り越えていく姿を演劇やポエムで紹介しました。実はこの史実は、手話の由来として手話言語条例前文に記載されています。
 そして条例本体には、手話を言語として認め手話が使いやすい環境を整備することや、手話を学ぶ機会の確保や学校での手話の普及に努めることなどが規定されています。この10年間の県の取組については、8月19日の日本海新聞の特集記事に今後の展望とともに紹介されています。では、これらの取組により、条例が目的とするろう者とろう者以外の者が共生することのできる地域社会が実現するのでしょうか。地域社会の主役は県民です。条例に規定する県民の役割は、「手話は、独自の言語体系を有する文化的所産であって、ろう者が知的で心豊かな社会生活を営むために大切に受け継いできたものであること」、そして「手話の普及は、ろう者とろう者以外の者が相互の違いを理解し、その個性と人格を互いに尊重することを基本として行われなければならないこと」を理解することです。少し難しい表現になっていますが、手話が今以上に広がっていくためには、特集記事にもあるように、まず手話を知ること、手話に触れることが大事です。
 ことしは37都道府県から69チームが申し込み、7月の予選会を突破した15チームが挑む第10回全国手話パフォーマンス甲子園。9月24日とりぎん文化会館梨花ホールでの開催です。また、手話言語条例制定10周年記念ということから、9月16日から24日までの9日間を「とっとり手話フェス」と銘打って様々なイベントも企画されています。

鳥取県手話言語条例
 https://www1.g-reiki.net/tottori/reiki_honbun/k500RG00001784.html
第10回全国高校生手話パフォーマンス甲子園
 https://www.pref.tottori.lg.jp/237028.htm
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【ふらっと便り】
 ◆9月 ふらっと 交流スペース展示のご案内◆
  『 輝く星たち 』 出展:認定NPO法人 十人十色
  展示期間:9/1(金)~9/30(土) 最終日の展示は午後3時まで
 ◆新入荷DVD◆
  『ハラスメントの裏に潜む 無意識の偏見 アンコンシャス・バイアス 職場のコミュニケーション向上のヒント』
   上映時間:24分 2023年製作 ドラマ 対象:一般
  『シリーズ映像でみる人権の歴史 第9巻 芸能と差別―文化を生み育てた人々―』
   上映時間:20分 2022年製作 解説 対象:小・中・高等学校、一般
 ◆新入荷図書◆
  『先生のためのリフレーミング大全 子どものよさを引き出すポジティブ言い換え100』
  著:宍戸 寛昌、柳沼 孝一、髙橋 正英、上野 良/出版社:明治図書出版
  『親といるとなぜか苦しい 「親という呪い」から自由になる方法』
  著:リンジー・C・ギブソン監訳:岡田 尊司 訳:岩田 佳代子/出版社:東洋経済新報社
  『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか! ③』
  著:練馬 ジム/出版社:LINE Digital Frontier
  『僕の妻は発達障害 ⑥』
  著:ナナト エリ、亀山 聡/出版社:新潮社
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【つれづれ日記】ハンドルネーム:    SHOHEI
 お盆の最中、台風7号が西日本を襲った。鳥取市の山間地に暮らす私は15日の未明、バケツをひっくり返したような雨音に飛び起きた。その後、丸一日雨は降り続き、千代川、佐治川等はみるみるうちに増水。夕方には、ついに警戒レベル5の「緊急安全確保」が発令された。我が家のトタン屋根部分が一部剥がされ、雨水が室内に吹き込んでくる。庭はプールと化し、濁流は今にも河岸を越えて町を飲み込んでしまいそうだ。サイレンの音が不気味に鳴り響く中、「命を守る行動を!」との呼びかけが続く。私は覚悟を決めて、盆提灯の明かりを消し両親の写真にそっと手を合わせた後、避難所に向かった。
 以前、私は「災害と人権」をテーマに調査研究を行い、被災された方々にインタビューを行ったことがある。当時、自分では随分と心して被災者の気持ちに寄り添ってきたつもりでいたが、いざ、こうして自分自身が被災者の立場に立つと、あの時、インタビューを受けていただいた方々の不安や恐怖、いたたまれない気持ち、また、その後の絶望感等、どこまで受け止められていただろうかと今になって気になっている。
 我が家の墓は道路の崩壊によって近づけず、今も土砂が堆積したあの日のままだ。

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