204号<令和5年11月22日配信>

【じんけん放話】 『少年達への性暴力被害に思う』
 故ジャニー喜多川氏による少年達への性暴力が世間の関心を集めています。外国メディアの報道を受け、日本のメディアでもようやくこの事件を取り上げるようになりました。被害に遭われた方々も次々と名乗りをあげ、その結果、元ジャニーズ事務所は、これらの性暴力が行われてきたことを認めました。
 何故、この事件がこれほどまでの長期間、また、多数の被害者を出し続けても事件として公にならなかったのかが問われています。元ジャニーズ事務所内の絶対的権力構造の中で口封じが行われ、また、事務所内ばかりでなく、仕事上のパートナーであるメディア側が忖度を続け「ないこと」として扱ってきた等とする検証結果も出されています。本来なら社会正義を追求する立場にあるメディアには大いに反省を促したいものです。
 この事件が世間の注目から逸れ続けてきたことには、もう一つ大きな理由があるように思います。それは、被害者が未成熟な子ども達であったこと、そして、特に男性であったということです。被害者である少年達は、自分の身に起こった現実が受け止め切れず、自分の中にモヤモヤを抱えたまま誰にも相談できずにいたことでしょう。仮に勇気を出して告発したとしても、信じてもらえなかったり、からかわれたり、茶化されたりと真剣に取り合ってもらえず、被害者は無力感、絶望感を味わっていたのではないでしょうか。このように男性の性暴力被害が抱える問題の一つに、社会の中での偏見の目があります。これに晒されることを恐れ、押し黙ってしまうという構造が見て取れます。このことによって男性への性暴力被害の実体はつかめず、可視化することは困難です。実際に「どれくらいの被害件数があるのか?」「どんな状況で被害に遭うのか?」「被害に遭ったあとどうしているのか?」等についてさえ把握されているとは言えません。今回の性暴力被害がそうであったように、事件化されることなく闇に葬られたものも相当あるのではないでしょうか。
 「自分に見えないこと」や「理解できないこと」を見聞きすると、人々は戸惑い動揺します(認知的不協和)。この精神的不安定な状態を解消するため、自分自身が持っている常識的な考えと一致させるよう私たちの意識は働きます。「少年達(男性)が性被害に遭うなんてそんなはずはない」とのバイアスや人々の固定観念が、この問題には大きく影響しているのではないでしょうか。
 性暴力被害について、少年達ばかりでなく、誰もが安心して相談でき、社会全体で真摯に受け止められる偏見のない社会環境を整えていく必要があります。
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【ふらっと便り】
 ◆12月 ふらっと 交流スペース展示のご案内◆
  『拉致問題啓発パネル展』
   出展:鳥取県地域社会振興部人権尊重社会推進局人権・同和対策課
   展示期間:12/1(金)~12/22(金)(最終日の展示は午後3時まで)
   『鳥取県立白兎養護学校 児童・生徒作品展 小学部・中学部』
   出展:鳥取県立白兎養護学校 展示期間:12/1(金)~1/4(木)
 ◆新入荷図書◆
  『いじめ防止法 こどもガイドブック』
   著:佐藤 香代、三坂 彰彦、加藤 昌子/出版社:子どもの未来社
  『紛争地で「働く」私の生き方』
   著:永井 陽右/出版社:小学館
  『おとずれナース~精神科訪問看護とこころの記録~』
   著:のまり/出版社:ぶんか社
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【つれづれ日記】ハンドルネーム:ひまわり
 週に一度、小学生に絵本の読み聞かせを行っている。学校に出かけるときは、鳥取県人権文化センターのマスコットキャラクター“ふらっチョー”のぬいぐるみを持って行く。「ふらっチョーは、けんかや意地悪をしないで、仲良く暮らせる世の中であるようにとみんなに呼びかけているのだよ。」と話す。そんな時、子どもたちの目はキラキラと輝き、次世代の担い手としての自覚が感じられたくましく思う。
 翻って、大人社会の現実に目を向けると非行や凶悪犯罪等の暗いニュースが連日のように報じられている。それぞれに原因はあるだろうがいずれにしても心が痛む。私は、更生保護のボランティア活動も行っており、罪を犯した人々の立ち直りや非行防止活動に対して何をすべきかを考え、仲間と協力して取り組んでいる。今年もあいさつ活動、環境整備、更生施設や養護施設などに食材や日用品等を届ける活動を行ってきた。私たちと触れあう時、更正施設の入所者等は、あの子どもたちと同じようにキラキラと輝きをもった目で迎えてくれる。どこで道を踏み違えたのか。道標となる大人たちさえいれば・・と思う。地道な活動ではあるが、犯罪や非行がなくなることを信じ、一歩一歩進めたい。

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