じんけん放話2「あなたの組織の『会議』は?」
数々の記念日を認定・登録している一般社団法人日本記念日協会によると、6月1日は「アイデアの日」。「象がふんでもこわれないアーム筆入れ(1965年~)」などのアイデア商品を発売している文具会社が、創業者の命日を「アイデアに挑戦する日」と制定したことにちなんでいます。
そんなアイデアを、収斂(しゅうれん)・具体化していく場の1つが、様々な名目の「会議」です。人権啓発を担う組織でも、今は、夏から秋にかけて行われる人権啓発事業の内容や進め方について、アイデアを出し合い議論されている頃と思います。
ただ、会議のように集団で合意形成すると、ときに個人で考えた方針やアイデアよりも、「質が劣る」「好ましくない」結論に至ってしまうこともあるようです。この現象を「グループシンク(集団浅慮)」と言います。アメリカの社会心理学者アーヴィング・ジャニスが提唱した概念で、集団の中で生じる認知バイアスの1つとも言われています。
「問題があるのに、“自分たちは大丈夫”と、根拠のない自信がある」「過半数の同意を全員一致だと思い込む」「多数派が自分らにとって都合の悪い少数派の意見を押さえ込む(同調圧力)」「自分の意見を控えて周りに合わせる」など。
これらはグループシンクが起きる兆候です。会議では、「皆で意見を一致させる」ことにこだわるほど、多数派とは異なる意見を排除する(生じさせない)方向に向かいがちです。
グループシンクを引き起こす要因も指摘されています。いくつか挙げると、
・外部からのチェックや人の流入、情報がなく、閉鎖性が強い会議(組織)
・集団に対する帰属意識が高い、過度な仲間意識、空気を読んで遠慮し合う関係
・特定の人物の権力が強い(その人の意見が絶対視されている状態)
・しっかり意見を共有・議論し合えるほどの時間的な余裕がない など。
とりわけ自組織で行われる会議のグループシンクを解消するためには、そもそも、個人の意見や主張を望まない、非寛容な組織風土を見直すことが必要かもしれません。
1人ひとりの意見をできる限り大切に扱っていこうとする会議や組織であってこそ、「誰か」がではなく、「誰も」が「アイデアに挑戦する」意味を見出せるのではないでしょうか。
あなたのアイデアは、会議、あるいは組織の中で、大切に取り扱われていますか? あなた自身、大切にしていますか?
*メルマガ第198号<令和5年5月24日配信>より