じんけん放話4「女子選手が安心して試合に臨むために」
7月20日、オーストラリアとニュージーランドを舞台にサッカー女子ワールドカップが開幕した。過去最多となる32ヶ国が出場し、日々熱戦が繰り広げられている。日本代表は、青を基調としたホームユニフォームと、ピンクと紫のグラデーションが美しいアウェーユニフォームで闘う。
日本を含む10ヶ国にユニフォームを提供しているアディダスは、選手たちの激しい動きにも適応できる高機能性スポーツブラと、生理時の漏れ防止機能を持つタイツを選手に提供している。2つの開催国をはじめ、最多13ヶ国のユニフォームサプライヤーであるナイキも、スポーツブラや経血漏れを防止するショーツを提供。さらに、生理中にユニフォームの白いパンツを履くことを不安に感じる選手が多いことを受け、提供する26着のうち25着のパンツに白以外の色を採用した。デザインやカラー、素材や機能性の進化等は、選手たちを生理のストレスから解放し、W杯という大舞台で持てる力を存分に発揮することを助けるだろう。
先に開催されたテニスのウィンブルドン選手権でも変化があった。この伝統ある大会には、練習、試合ともに白色のウェアを着用しなければならない「オールホワイトルール」と呼ばれる厳格なルールがある。しかし、今年の大会から女子選手に限り白以外のアンダーショーツの着用が認められた。生理中、あるいは生理をむかえた選手のストレス軽減に配慮したもので、女子選手から歓迎の声が上がったという。
女性の多くが生理の悩みを抱えている。頭痛や腹痛、貧血、イライラや不安等、生理痛と呼ばれる症状の現れ方や痛みの程度は、人によって、あるいはその都度異なる。月経周期が不安定で生理不順に悩まされる人もいれば、経血の量が多く何度も生理用品を替えないといけないという人もいる。体育の授業や部活、試合等で、生理に関するストレスや、嫌な思いや恥ずかしい思いを経験したことがある女性は多いだろう。
女子選手(当事者)の意見を踏まえて、ユニフォームやルールが変わっていくことは素晴らしいと思う一方、その変更や決断は、なぜこんなに遅いのか、とも思う。露出の多いユニフォームを着用した女子選手が、性的な目的で盗撮されたり画像が拡散されたりする被害も後を絶たない。ユニフォームをはじめ、女子選手が安心、集中して競技に取り組むことができるよう、意識改革や環境づくりを強力に進めていく必要があるだろう。
*メルマガ第200号<令和7月26日配信>より