本文へ移動
会員登録

じんけん放話9「衣 ~アシタ、なに着る?~」

質問です。あなたは一日に何枚の衣類を身につけるでしょうか?起床から就寝までのよくある一日を思い浮かべてみましょう。

例えば、仕事に行くためのシャツにジャケット、スラックス、寒い日はカーディガンとレギンスをプラスし、コートを羽織る。帰宅後はスウェットの上下に着替え、寝る時はパジャマに身を包む。そして下着。ネクタイやベルト、靴下、靴、帽子、マフラー、手袋等の服飾雑貨も加えると、一日の内に十数点の衣類等を身につけていることになります。季節やその日の目的、好みや個別の事情等、人によって必要なものや枚数は異なりますが、私たちが毎日を生きていくために、「衣食住」の「衣」は必要不可欠です。

さらに質問です。あなたは毎年服を何枚くらい購入し、何枚くらい手放しているでしょうか?
環境省の2022年度調査(環境省_サステナブルファッション (env.go.jp))によると、一人当たり(年間平均)の衣服購入枚数は約18枚、手放す服は約15枚、そして、一年間一度も着られていない服は35枚。手放す服の多くが可燃ゴミ・不燃ゴミとして捨てられ、そのほとんどが焼却処分・埋め立て処分されています。その量は年間約45万トン。毎日、大型トラック約120台分を焼却・埋め立てしていることになります。

アパレル産業は「世界第2位の環境汚染産業」と言われています。衣服の製造から廃棄までには原材料の生産・調達、紡績、染色、裁断・縫製、輸送、販売、廃棄といったいくつもの工程があり、それぞれの段階で大きな環境負荷が生じています。12月上旬、EU(欧州連合)は、アパレル事業者に売れ残った衣料品や靴の廃棄を禁止する規制を導入することを大筋合意したと発表しました。大量廃棄に歯止めをかけ環境負荷を減らすことが目的です。正式に承認されれば2年後に適用されます。
私たちは、流行の服を安く気軽に購入することができるようになりました。そして、気軽に廃棄しています。大量生産、大量消費、大量廃棄の裏には、環境問題だけでなく様々な人権問題も生じています。農薬や化学薬品による労働者への健康被害、安全管理や衛生環境の問題、低賃金、長時間労働、ハラスメント等、過酷な労働条件の下で働かざるを得ない人々がいます。

私たちが毎日を生きるために必要な衣類。その購入や利用、廃棄の仕方を見直す必要があります。今日の私の選択が、地球にとっても誰にとってもより良い未来となるように。

                              *メルマガ第205号<令和5年12月27日配信>より

会員登録